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ブランシュ家は華やかな貴族だった。
しかし、今はもうその栄光は遠い昔のものとなっていた。
かつて誇り高かった父と母も今や老いて疲れ果て、帰らぬ人となったのだ。
彼らにとって唯一の希望とも言える存在、それが娘のイザベルである。
そのイザベルは現在権力を無くし、「没落令嬢」と嘲笑され続ける存在となってしまった。
今日もまた陰口を叩かれる一日が始まるのであろう。
それはいつもの日常。
けれどそんな日常も突然終わりを迎えることとなるとは誰も予想していなかった。
ある日突然手紙が届けられた。
「イザベル様宛にお手紙です」と侍女メアリーから渡された封筒。
そこには封蝋されただけではあるものの、確かに正式なものであること示す紋章入りだった。
その差出人は見覚えのある名前、フィリップス王子その人である!
「フィリップス様からの手紙……?」
イザベルは一瞬困惑しながらも封を開けることにした。
中には便箋一枚のみだが、内容を見るなり息を呑む。
『親愛なるイザベル殿へ』という書き出し文面から始まり以下続々と書かれていた文章――それはまさに信じ難き内容であった。
「君との再会を心待ちにしています。王宮内で会えないでしょうか?」といった趣旨である。
まさかこのような誘いが来るなんて、予想外すぎて動揺しないはずはない。
「私……一体何故呼ばれたのかしら?」
不安げにつぶやくものの、一方で胸躍る感情湧いてくる自分自身に戸惑う。
無意識に頬を紅潮させていく、自分を感じてしまっていた……。
こうして彼女は再度王宮舞い戻ることを決断する。
そして、運命を大きく変える出来事が繰り広げられることになる。