テラーノベル
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それから大飛は学校の話をしていた。
大飛 「今日体育あったんだけどさ。」
優太 「へぇ…」
大飛 「バスケで、~~ 」
そんなどうでもいい会話。
しばらくして大飛は聞いた。
大飛 「……優太さ、」
優太 「ん?」
大飛 「病院から出れないの?」
優太 「…まぁ。」
大飛 「1回も? 」
優太 「ほとんど。」
大飛 「え、なんで?」
俺はベッドの上で天井を見ながら言った。
優太 「危ないからだって。」
大飛 「危ない?」
優太 「うん。……俺さ」
大飛 「…?」
優太 「”あと1年なんだよね。生きれるの”」
病室が一瞬、静かになった。
大飛は何も言わなかった。
優太 「だから先生に言われてる。」
大飛 「……」
優太 「危ないから外に出るなって。 」
外に出たら体調が急変するかもしれない。
倒れるかもしれない。
命に関わるかもしれない。
優太 「まあ、外になんて元々行ってないし」
少し笑って言ったつもりだった。
でも。
大飛は笑っていなかった。
大飛 「……1年って、」
小さく呟く。
そして、大飛は言った。
大飛 「じゃあさ、1年でめっちゃ生きよう」
優太 「……は?」
大飛 「1年あるじゃん」
大飛は当たり前のように言う。
大飛 「1年あったら色々出来るし。」
優太 「俺、病院から出れないけど…」
大飛 「だから。病院で出来る事をやろう」
優太 「病院で出来る事…」
大飛 「俺、付き合うから。 」
俺は言葉が出なかった。
俺の1年は、
ただ終わるのを待つだけだと思っていた。
でも。
大飛は違うみたいだった。
大飛 「1年あればさ、人生1個分作れるだろ」
それから1週間後。
大飛 「優太ー、いる?」
優太 「いるよ。」
大飛 「よっ。」
優太 「…また来た。」
大飛 「その言い方やめろって。」
そう言いながら、大飛は今日も花を差し出した
その花は、
細長い緑の植物だった。
優太 「…これ、花?」
大飛 「ミリオンバンブー」
優太 「へぇ…」
俺は少し眺めてから聞いた。
優太 「なんで、これ?」
大飛 「幸福と長寿 」
優太 「長寿?」
大飛 「うん。」
優太 「俺、あと1年だけど…」
大飛 「知ってる。」
大飛 「でもさ、長生きしよう。 」
優太 「……」
大飛 「1年でも、俺が幸せにするから。」
その言葉に、胸が少しだけドクンとなった。
優太 「…大飛さ、」
大飛 「ん?」
優太 「やりたい事、あるんだよね。」
大飛 「なに?」
俺は窓の方を見た。
遠くに街が見える。
優太 「花火。」
大飛 「花火?」
優太 「うん。この病室から見えるんだよ」
大飛 「へぇ。」
優太 「夏になると、花火大会やるんだ。」
大飛 「確かに。あるね」
優太 「でも俺、見たことないんだよね」
大飛 「え?」
優太 「花火って誰かと見るもんじゃん。」
大飛 「じゃあ、今年見よ。」
優太 「…え?」
大飛 「俺と。」
優太 「この病室から?」
大飛 「うん。」
優太 「つまんなくない?」
大飛 「全然。…むしろ特等席じゃん」
優太 「…変なやつ。」
大飛 「よく言われる。」
そう言って2人で笑った。
大飛 「…約束な」
優太 「……うん。」
そして花火大会当日。
大飛 「…優太。」
優太 「……大飛。」
大飛 「今日の。」
いつものように花を受け取る
小さな白い花束だった。
優太 「…今日はなんの花?」
大飛 「カスミソウ」
優太 「また花言葉?」
大飛 「うん。」
優太 「…なに?」
大飛 「幸福。」
優太 「幸福、ね。」
大飛は窓の外を見た。
大飛 「もうすぐ始まるらしい。」
優太 「…ほんとに来たんだ。」
大飛 「約束したじゃん。」
その時。
ドンッ
遠くで一発、花火が上がった。
夜空に大きな光が広がる。
赤
青
金
病室の窓からでも綺麗に見えた。
優太 「……すご。」
大飛 「だろ。 」
次の花火が上がった時
俺はふと気づいた。
花火よりも
隣でそれを見ている人がいる事の方が、
何よりも嬉しかった。
優太 「……ありがとう。」
大飛 「…何が?」
優太 「花火。」
大飛 「まだ終わってないだろ。」
その時
今までで1番大きな花火が上がった。
大飛 「…優太。」
優太 「ん?」
大飛 「来年も見ような。」
俺は少し固まった。
来年。
俺には無い時間。
でも。
大飛は普通みたいに言った。
優太 「……バカ。」
大飛 「なんだよ。」
優太 「あと一年って言ったじゃん。」
大飛 「…知ってる。」
大飛が普通に言ったその言葉が、
俺にとってすごく嬉しかった。
コメント
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感動します!😭長く生きて欲しい😭