テラーノベル
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カーテンの隙間から差し込む朝日が、容赦なく私の瞼を叩いた。
ズキズキと痛む頭を押さえながら、私はゆっくりと目を開ける。
「……ん…っ」
体に感じる、いつもと違う重み。
そして、肌に触れる他人の体温。
寝ぼけた頭で、昨夜の記憶が断片的にフラッシュバックする。
飲み会、課長、助けてくれた真壁くん……。
(……え、嘘でしょ?)
恐る恐る隣を向くと、そこにはシーツから逞しい肩を覗かせ、無防備な寝顔を晒した真壁くんが眠っていた。
あの生意気な男が、私のベッドに、私の隣にいる。
「……ひっ、きゃああああああああ!!」
私は反射的に彼をベッドから蹴り落とさんばかりの勢いで飛び起きた。
慌ててシーツを体に巻き付け、床に散乱した自分の服——
ブラウスやスカートを見て、血の気が引いていく。
「ちょ、ちょっと! あんた、ここで何してんのよ!?」
私の叫び声に、真壁くんが「ん……」と面倒臭そうに片目を開けた。
彼は混乱する私とは対照的に、あくびをしながらゆっくりと体を起こす。
「……あっ、はようございます、マネージャー。朝から元気ですね」
「元気なわけないでしょ! なんであんたが私の部屋で裸なの!? まさか、私に何かしたんじゃ……」
「『何かした』? 逆ですよ。先に手を出してきたのは怜さんです」
真壁くんは平然と言い放ち、サイドテーブルに置かれた水を一口飲んだ。
「覚えてないんですか? 介抱してやった俺にキスして、泣きついてきたのはどこの誰だって話です」
「……まあ、あんなに可愛く『行かないで』なんて言われたら、男として断る理由もないですし」
「な、ななな……っ!」
記憶が、濁流のように脳内に蘇る。
自分からしがみついたこと。
熱い口づけを強ねたこと。
そして、彼の腕の中で名前を呼ばれて感じ入ってしまったこと。
全部、私だ、私がやったことだ。
「……忘れて。今すぐ、全部忘れて!!」
私は顔を真っ赤にして、枕を彼に投げつけた。
「これは、そう……事故よ! お酒の勢い! 昨日のことはなかったことにして。お願い、誰にも言わないで、会社でも今まで通りにして……っ!」
必死に懇願する私を見て、真壁くんは少しだけ瞳を細めた。
彼はベッドから立ち上がると、無防備な格好のまま私に一歩近づき、壁に手を突いて私を閉じ込めた。
「……忘れる? 俺とあんなに熱く絡まっておいて、今さら『なかったこと』にできると思ってるんですか?」
彼の低い声が耳元で響く。
「それに……怜さんにはまだ、隠してる『秘密』がありますよね?」
真壁くんの口角が、意地悪く吊り上がった。
「コスプレの件、それに昨夜の失態。……バラされたくなかったら、俺の言うこと、聞いてもらえますよね?」
「……っ、何を……」
「俺と、『契約結婚』しませんか?」
絶望に打ちひしがれる私の耳に届いたのは、甘くて残酷なプロポーズだった。
#ざまぁ
おまる
#ワンナイトラブ
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