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#コスプレ
#ドS
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「……け、契約……結婚?」
頭が真っ白になった。
真壁くんの口から出た言葉が、あまりに突飛すぎて理解が追いつかない。
裸のまま壁に押し付けられているこの状況で、彼は一体何を言い出しているの?
「そう、期間は一年。対外的には、俺たちが運命的な恋に落ちて電撃婚をしたことにする」
「正気なの!? 私たちは上司と部下なのに」
「だからこそ、ですよ」
真壁くんは私の耳たぶをわざとらしく指先で弄りながら、獲物を追い詰めるような笑みを深めた。
「『氷の女王』が、実は週末に過激なコスプレをしてネットを騒がせている美少女レイヤーだなんてバレたら、会社でのあなたの居場所はなくなりますよね」
「それに加えて、酔った勢いで部下を食い散らかしたとなれば……」
「っ……!脅すつもり!?」
「人聞きが悪いな。俺は怜さんを守るための『隠れみの』になってやるって言ってるんです」
彼は私の手首を掴み、ベッドの上に置いてあった私のスマートフォンを指差した。
画面には、昨日私がアップしたコスプレ写真への通知が鳴り止まずに表示されている。
「怜さんはこれからもその趣味を続けたいだろうし、俺は俺で、親から執拗に勧められてる見合い話を断る理由が欲しい。お互いの利害が一致してるでしょう?」
「利害……それだけ?」
「……それ以外に何があるんです?」
真壁くんの瞳が、一瞬だけ鋭く光った気がした。
でも、今の私には彼を疑う余裕なんてない。
趣味のバレ、そして昨夜の過ち。
この二つの弱みを握られている以上、私に拒否権なんて最初からなかったのだ。
「……分かったわよ。やればいいんでしょ、契約結婚。その代わり、一年経ったら綺麗さっぱり他人同士に戻ること。いいわね?」
「交渉成立ですね、マネージャー。……あぁ、家では『怜さん』って呼んでいいんですよね? 昨夜みたいに」
「っ、外では絶対にやめて!」
顔が火を吹くほど熱くなる私を見て、真壁くんは満足そうに喉を鳴らした。
彼は私の額に軽くキスを落とすと、まるで自分の家かのように悠々と着替えを始めた。
「じゃあ、今日中に荷物まとめといてください。明日から俺、ここに住むんで」
「はあ!? 住むって……ちょっ、真壁!?」
私の抗議を無視して、彼は颯爽と寝室を出て行った。
残されたのは、荒らされたベッドと、震える私一人。
こうして、私の「完璧な人生設計」は音を立てて崩れ去り
嘘と秘密にまみれた甘く危険な共同生活が幕を開けてしまった。