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その日はとても暑い日だった。今日も、小学4年生の修也は同学年の裕太と虫取り行った。夏休みが始まってからというもの、この2人は宿題を忘れて遊び呆けていた。
太陽が彼らの真上に登っている、昼下がり。
「こんな時間にもカブトはいるの?」と裕太は聞いた。
「いるよ!」と活気のある声で修也は返事した。
続けて修也は「この間、すっごいところ見つけたんだぜ!あんなところ誰も来ないからいっぱい取れるんだ!」と自慢げに話した。
それから2人は異常な暑さの中、小一時間歩いた。
「裕太、この森だよ。」
2人が着いたのは住宅街から少し離れた、確かに誰も来なそうなクヌギの森だった。
誰も管理していないのか、森の中が荒れ放題になっていた。
それに、高い木の上の葉縁が独特の鋸歯を持つ木の葉が重なり合い地面に日光が届いておらず
森の奥、数十メートルすら見えないほど深淵な暗闇が森の中に広がっていた。
見ているとその闇に引き込まれてしまいそうな深さがあった。
もちろん修也の脳はこの感覚を普通だと感じているが、
初見の裕太にとっては先が見えないという事実に本能的な恐怖を感じていた。
「ねえ。ここはやめておこうよ。こわい」
「何言ってるんだよ。俺は何回もここに来てるんだから。大丈夫だよ。」
そう言ってズカズカと入って行く修也に
「待ってよお〜」と小走りで着いて行く裕太。
2人は瞬く間に闇へ消えて行った。