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第1話
僕は『天地を治める勇者』に選ばれた。天地を治める勇者は神の力を持った王女と一緒に大災厄に立ち向かう使命がある。
今日はその王女と始めての顔合わせをする日だ。
僕の親は二人とも一年前に森で魔獣に襲われちゃったからいない。
今は妹と二人暮らしだ。成人年齢は十ニ歳だけど、生きるための唯一の方法だった。
王女は僕より一歳年下の十二歳で好奇心旺盛だって話を聞いた。
どうなんだろう……
僕は緊張しながら扉を開けた。
すると、可愛らしい顔つきの女の子が座っていた。髪は僕より少し薄い色をした金髪で瞳は青い。肌は白くとても可愛らしい印象だった。
僕には光っているように見えた。きっと、王族の血が濃いから力が宿っているのだと思う。
この人は大きな器で、僕と並べるのか少し不安になった。これが、僕の第一印象だ。
その子は目を丸くして僕の事を眺めるだけだった。
けど、女の子ほ「あ、お席におかけになさってください」と僕に微笑みかけた。
それから色々と女の子は自己紹介をした。
アニカという名前で、魔法は聖騎士に及ばないくらいしか使えないのだという。
好きな物は何だとか、食べ物は何が好きとか、好きな動物とか、色々と彼女の事を知れた。
でも、僕はそういう事を最近、ほとんど出来てなかったので話せる事が無かった。それに、僕みたいなやつが自慢気に何かを話すなんて周りの目が冷たくなるに違いない。
僕は彼女に『親がいない』と『妹と二人暮らし』という事だけを話せた。
きっと次に会えるのは一週間後とか、そこら辺だろう。
その日の夕方頃帰路を歩いていた。
すると、アイアンゴブリンの群れが道を横断していた。
アイアンゴブリンはここら辺では珍しく、ゴブリンの中でトップスリーの中にあるとても強いゴブリンだ。
最近、大災厄が近づくにつれ強い魔獣も増えていっている。
アイアンゴブリンの相手を誰かやっているように見える。逆光のせいで誰だかは分からないけど小さな子供のように見える。
僕は嫌な予感が過ぎったよぎった気がして駆け出した。
ソフィー!
僕は心の中で叫んだ。唯一の家族である妹がアイアンゴブリンの相手を一人でしていたからだ。
「あわっ……きゃっ!」
そう言って間一髪で避けている。
僕は持っていた片手剣でアイアンゴブリンの両腕を切り落としてから喉仏を突き刺した。
「お兄っじゃん……」
「遅くなっちゃった……ごめん……」
泣きじゃくりながらソフィーは僕に抱きついてきた。
僕は怪我は無いかとか、何でここに来たのか、遅くなってごめん、と色々話しながら帰り道を一緒に歩いた。
一ヶ月が経った。あれから、彼女との距離が縮まる事は無いし、強い魔獣も出没が相次いで起きている。
「ねぇ、大丈夫なの?」
そうソフィーが僕の腕にできた傷を指さした。
僕は「うん」と言って頷いた。
「絶対、無事で帰ってきてね」
ソフィーはそう言って僕の事を見送った。
アニカは特に話しかける事も無く、ただ僕に微笑みかけるだけ。僕はそんなアニカを横目に騎士団長の元へ向かった。
「あぁ、ロルフか。組手の相手を選ぶから待ってろ」
そう騎士団長が言うと「俺、相手になりたいです!」という男の人の声が聞こえた。
あの人……うん。新人かな?
「じゃぁ、こっちへ来い」
それから組手が始まった。
少し強かったけど直ぐに決着が着いた。
「お前つよいな。家は騎士団家か?」
そう言って隣に座ったのはさっきの聖騎士。笑顔が眩しくてこっちまで移りそうになる。
多分二十歳くらいの人だろう。
僕は彼に向かって無言で首を横に振った。
僕の家の事を知るよしも無いもんな……
「そうか……まぁ、お互い頑張ろうな」
そう言って僕の背中をポンと叩いた。
午後にはアニカ姫の護衛もするので、ご飯を食べて体力をつけておく。
「相変わらず、美味そうに食うな」
「うん」
そう言ったのは南の方にある街、『エルド』から選出された勇者。シルビオさんだ。五歳年上で弟さんは僕と同い年。
容赦としてはガタイが良い黒人。両手剣を愛用している。髪は赤毛で瞳は髪より明るい色をしている。
石の耳飾りをいつもしていて動く度にキラキラと乱反射するのが綺麗。
「ほらほら、ここにソース」
「えっ?」
そう言ったのは東の隣町の、『セルフ』から選出された勇者のロザンナ。肌は白くて二歳年上の槍使い。
髪はサラサラのブロンド髪で、瞳は綺麗な緑。
風魔法が得意でロザンナの父は里長をしている。
ロザンナの住む町はユラガ族と言って、五百年生きる事もある種族。だけど成長期は同じらしい。見た目も僕たちと殆ど変わらない。
「ロルフってお茶目な所あるよな」
隣で笑ったのは北にある街、『ルミナ』から選出されたマルコさんだ。双剣を巧みに操る十歳年上の人。
不安だった僕に最初に声をかけてくれた優しくて強い憧れ。
実際の強さ的には五分五分だけど、心の芯がとても太い。
そんな彼には小さな子供が二人いる。とても可愛らしいと言っていた。
そんな四人で楽しく食べていたけど嫌な予感が過ぎった。
ソフィーでも無い……アニカ姫!
「ロルフ、どうかした?」
そうロザンナが言った瞬間、食堂に聖騎士が入ってきて「ロルフ様、マルコ様、シルビオ様、ロザンナ様、至急王城へ」と肩で息をしながら言った。