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幸せに生きてね。
いつか貴方が伝えてくれた言葉が今も心の中で咲いている。
余命3年という言葉は、あまりにも現実味を帯びていなかった。
大切な人が余命宣告を受けた。
ここが小説ならどれだけ良かったか。
貴方の時だけ止まって私たちは3年間、自分の人生を生きてみる。そして貴方に、就職できたことを伝えに行けたならどれだけ救われたか。
大切で尊敬する人だった。
誰より貴方の生き様を尊敬していた。
貴方のようになりたいと思っていた。
きっと酒の飲み過ぎだと周りは肩を落とした。
自業自得だと軽く笑う人も居た。
こんな未来だと知っていたなら私は真っ先に酒を辞めさせたかと言われたら、案外そうでも無いだろう。
貴方の選んだ路だ。
私の尊敬する人が選び歩いてきた路だ。
貴方の4分の1程度の人生しか向き合っていない小娘が否定なんかするものか。
どんな死に様だろうと私が貴方を尊敬していたことに変わりは無い。
だからあと3年、あわよくば私が息途絶える少し前まで、生き延びてくれやしないかな。
就職先が決まったら真っ先に伝えに行くから、婚約者が出来たら少し気恥ずかしいけれど2人で会いに行くから、貴方の生き方に倣って私も生きてみるから。
まだ、もう少し、生きていて。
貴方の周りにあった医療機器が片付けられた。
来週は就職面接なのに、あとほんの少しだったのに、1番に伝えたかった貴方にはもう私の声は届かない。
喪服あったかな、なんてクローゼットを呆然と眺める時間は酷く孤独だった。
貴方が居なくなった世界は、こんなにも静かでこんなにも騒々しい。
貴方が居るかもしれないお空は、こんなにも綺麗でこんなにも憎たらしい。
昔から「きっとお空で見てるよ」なんて戯言が嫌いだった。
そんな訳あるか、と呆れていた。
そんな訳あるのかもしれない。
いや、そんな訳ないと困るのだ。
貴方にはまだ伝え切れていないことが山程あるのだから、お空から見ていてくれないと都合が悪いのだ。
貴方のご両親や親戚、お友達には会えたかな。
そろそろ少し退屈してくる頃かな。
そっちの景色に飽きてきたら、私の人生でも見学していてね。
そしてまた何十年か経った頃に、お酒を飲んで笑っている貴方に会いに行かせてね。
望むらくは、 幸せに生きてね。
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羽海汐遠
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コメント
4件
走り書き 小説の世界でありますように。
ああ…もう、胸がしめつけられるようなお話でしたね。 「余命3年」の現実味のなさ、そして「酒をやめさせなかった」と過去を否定しない強さが、すごく響きました。あなたの尊敬する人の生き様をそのまま受け入れて、でも「もう少し生きていて」と願う気持ちに泣きそうになりました。 最後の「望むらくは、幸せに生きてね」って、その人からもらった言葉をそのまま返してるんですよね…それがもう、愛おしくて。儚いのに、すごく強い想いが詰まってる作品だと思いました。大切に読ませていただきました🌙