日も上り、生徒たちが起きて食堂に足を運ぶ時間帯。三郎は勘右衛門、兵助 、雷蔵と食堂にいた。
「三郎、八が心配なのは分かるけどそんな怖い顔すんなよ。」
「かんちゃんの言うとおりなのだ。それに三郎がそんな顔してるから下級生が困ってるのだ。」
勘右衛門と兵助がおばちゃんのご飯を食べながら、三郎を見る。
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「三郎、あの後先生方の監視をまいて八のこと探しに行こうとしてたんだよ。まぁ全部バレて部屋に強制送還だったけど。」
ムスッとした三郎を見て苦笑いしながら、雷蔵が笑った。
「あぁ、そういうこと。」
「あっあの!」
勘右衛門が納得した時、四人は声をかけられた。
「お前達は、八のところの一年生。」
「はっはい。一年は組の夢前三治郎です!」
「佐竹虎若です!」
「一年い組の上ノ島一平です!」
「一年ろ組の初島孫次郎です!」
「たっ竹谷先輩は、戻ってきてくださるでしょうか?」
四人の一年生は不安そうに目に涙をためながら四人を見る。
昨日の夜、いなくなった八左ヱ門の情報を集めるために、学園長先生が八左ヱ門が退学届を出して学園をさり行方不明だと学園の生徒に伝えたのだ。
「大丈夫だ!俺達が八左ヱ門を連れて変えるから!」
勘右衛門がにかっと笑うと、四人はホッとした顔をした。
「だから安心して、」ーアウォーン!
勘右衛門が三治郎の頭に手を置こうとしたとき、遠吠えが聞こえてきた。
「何だ!」
食堂にいる生徒全員が外へ出る。
すると今度は沢山の遠吠えが聞こえてきた。
ー何が起きてる!ー
ー敵襲か!?ー
学園全体がパニックに陥っていると、ドドドドドッっとすごい勢いで何にがやってくる。
「狼だ!」
食満先輩が叫んだとほぼ同時に生徒の周りを沢山の狼がとりかこんだ。
とっさに下級生を守ろうとするが狼達は何もせずにじっとこちらを見てくる。それを睨むように見ると、狼達は生徒たちに歩くように促してきて、三郎達はそれに従い歩いた。
ついたのは校庭だった。
他の場所にいた生徒も先生方も連れてこられたのだろう。皆揃っていた。
下級生は怯え、上級生、先生方は塀の上に足を開いてしゃがんでいる黒い装束を着た忍びを睨んでいる。忍びはどこにでも売っているような狐の面をしており顔は見えない。が、珍しい銀色の髪をしている。
三郎は唇を噛んだ。
おそらくこの場にいる全員が同じことを考えているだろう。
「お前は何者だ!何故こんなことをする!」
土井先生が忍びに叫ぶ。
「誰かって?」
忍びは立ち上がり面に手をあてた。
「忍術学園5年ろ組。」
ゆっくりと面が外され口元が見えた。。
「生物委員会委員長代理。」
面が全て外れた。そして現れた顔は、
「竹谷八左ヱ門ですよ。」
昨日行方をくらました八左ヱ門だった。
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