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15 - むこうへいって

♥

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2023年01月11日

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軍パロと死ネタです。

色々な怪我を負っていていたり、言葉がつっかえている表現があります。


決してそのような病気を患っている人を陥れるような意図はありません。


また、カプ要素は少なめです。

それでもいいかたはどうぞ。







○○が戦争で言語障害と足に麻痺の怪我を負った。


医務室では白いベッドに横たわる○○が見える。

○○とのコミュニケーションは少々困難だ。


「○○ちゃん、今日は元気?」


○○の治療を続けているしんぺい神が声をかける。

しかし、○○の言う言葉はこれだけだ。

「…….むこうへ、いって。」

我々にはこの言葉の意味がわからない。


その場に居続けても○○はそれ以上話すことはない。


「…そっか。」

しんぺい神も慣れた様子だった。


言語障害を負っても○○は飯を食べる。

生きる意志はあるとしんぺい神は言う。


しかし、口に含んでも吐いてしまうため、栄養が補給できないそうだ。

無理矢理食べさしても吐く一方。○○の目は窓に向けられていた。





○○はこの頃、足の麻痺が治り、屋外で絵を描くことが多くなった。

木陰にキャンバスを立て、椅子を持ってきてはそこに座り、国が眺望できる場所で描いている。


それを後ろからこっそり見ては破ってしまうため、我々はこっそりと見守ることにしていた。


勿論、屋外は兵士や召使いたちが通る場所だ。

兵士たちや召使いたちからは哀れみの目で見られている。

我々が、屋内で描こうと誘っても屋内で描こうとしない。


勿論我々には謎が残る。

○○は何を描いているのか。

遠目から見てみると足元にはオレンジ、黄色、緑、黒などの様々な色が使われている。


どんな絵を描いているのだろう。




ある日、○○は医務室で静かに眠っていた。

昨晩から、頭が痛いと言っていたことを思い出し、頭を撫でようとする。


すると、体をびくりと震わせこういった。


「だ、だだだだ、誰。い、いい、いや。」


頭が真っ白になる。


記憶障害が遅れてやってきたのだと理解する。


急いでしんぺい神を呼び、先程までのことを話す。○○はガタガタと震えている。


「…ねえ、○○ちゃん。何まで覚えてる?」


「…じ、じじっ、自分の、な、名前、だ、っだけ。」


○○はつっかえながらも話す。

あの戦争のことを思い出し、顔をしかめる。

それが○○の恐怖の対象になったようで、怯えた目で見ている。


「….そっか、ありがとうね。」

しんぺい神はカルテを書き換える。ちらりと見ると記憶障害が書き加えられていた。

「○○ちゃん、俺たちは君に何もしないからね。俺たちは今から部屋を出ていくから、何かあったら言ってね。」

○○はこくこくと首を縦に降る。

何でも言うことを聞くから出てってくれ、といった感じだった。

医務室を出るときにも見た○○の顔が頭を離れない。





記憶障害のこともあり、しんぺい神以外は幹部でも話すことは出来なくなった。

それでも○○は絵を書き続ける。

外では発作が起きてしまうため、屋内での絵描きだったが、本人は不満足のようだった。


「そ、そそそ、外、い、いいい、いきた、い。」

○○は拙いながらもしんぺい神に伝える。近頃はしんぺい神に懐いているようだ。


「外?ああ、絵ぇ描きたいんだね。じゃあ、屋上行こっか。」

しんぺい神が選んだのは屋上だった。

屋上は誰も居らず、静かで絵を描くにはもってこいの場所だと判断したのだろう。


屋上には心地よい風が吹く。

○○は風すらも恐れているようだったが、絵を描く頃には集中して気にも止めなかった。

しんぺい神は我々国を見渡す。まだまだ未熟な国だがこれからはもっと栄えていくだろう。


しんぺい神は○○の方に目をやる。

絵も目に入り、どんなものだろうかと気になり、覗く。しんぺい神はそれが何かわからなかった。






ある日、○○は死んだ。


医務室で息を引き取ったのだ。

幹部全員が集まり、泣いている。

○○の手を握っても、体温が戻ることはなかった。○○の遺体は国が管理する墓へ入れた。

葬式は幹部だけで行われた。

誰一人として喋らない。

いや、悲しみのあまり話せなかった。



国一番の魔法使いが死んだ日である。





○○の死後、我々国は○○の生前より栄えた。

○○の意志を受け継ごうとした形で皆仕事に取り組んだ。

国民は増加し、商業も発展し、よりよい国へとなった。




グルッペンがスピーチを国民に向けてする。

しんぺい神はこの光景に何か見覚えがあり、自室に戻る。

そういえば、○○ちゃんが絵を描いていた。

あの絵だ。

あのときはわからなかった。

どこだ。どこにある。

しんぺい神は死にものぐるいで探す。

引き出しの奥から出ては、涙がこらえきれず、泣いてしまった。

これをみんなに知らせなければ。



その絵を持ち、みんなのもとに帰る。

グルッペンのスピーチが終わりかけていた頃に戻った。

どこにいっていたのだとお叱りを受けるがそれどころの話ではない。


グルッペンもやや気になりながらもスピーチを終える。

国民の拍手が一斉になる。

荒くなった息を整え、その絵を広げた。



幹部も何だと見てみる。

その絵は屋敷の中から見ているような絵だった。

○○以外の幹部全員の背中が見え、絵の中の彼らが見ているのは夕日だった。

国民も大勢おり、まさに今の光景を絵にしたかのようだった。


グルッペンが膝を崩し、拍手が起こる中で泣く。幹部たちは涙を堪える。


そうか、○○は、この光景を見ていたのだ。○○の

言葉は、私達にもっと羽ばたけることを教えてくれ

たのだった。

私達は、生前の○○の声と笑顔を思い出す。

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