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人形パロ?です。無理矢理終わらせました。
それでも良い方はどうぞ。
今日、初めて大型の人形を買った。
人形といっても、AIが搭載された人形で、人形ごとに性格が違うものだ。
これが本物の人間のようで話題になっている。
思っている設定以外の人形でも、変更することがで
きるそうで、理想の人形を皆、作成している。
人形と結婚したといったニュースを見かけて「そんなにか」と思い購入した。
あとはそんな人形にしか頼めないことを頼もうという下心もある。
届いた箱は大きいものだった。
配達員のお兄さんも慣れているようだった。
部屋の中まで入れてもらった。
箱は頑丈に包装されている。
私と同じくらいだろうか。
あまりの大きさにびっくりしているが、大切なのは内容だ。
その人形ごとに取扱説明がある。
取扱説明書は箱の表面に貼ってある。
説明をよく見ない私でも、今回ばかりは見てしまう。
名前:ゾム 性別:男
(1)隅でイジけてたら構ってあげてください。
(2)昼用と夜用のモードがあります。
(3)月イチくらいで苛々します。仕様です。
※故障等をしても責任を負いません。ご注意下さい※
…これだけ!?
あまりの説明の少なさに驚く。
さて、箱を開けようとカッターで中をきらないよう
に包装を切る。まるで玉手箱を開ける浦島だ。
箱を開けると包装されている人形が出てきた。
過剰包装かと思いながらも開ける。
中からは緑のパーカーを着ている人形が出てきた。
電源はどこかと探しながら人形を観察する。
肉がついてる、髪の毛はあるが産毛はない、骨のようなものもある、などと変態のようなことを考えていると電源が背中にあるのを見つけ、つける。
上半身が起き上がり、肩がはねる。猫背な背中に長い髪。
寝起きの私そっくりだなと思いつつも見守る。
私の方には気づいていないようだ。
人形は立ち上がり、背伸びをする。
「ん”〜….はっ。…あんたがご主人なん?」
長い前髪から覗く緑の目が見えた。まばたきをするのも見え、精巧だなと感心する。
「あ、はい…こんにちは…。」
「あ、ども…。」
「…。」
「…。」
沈黙。
「…クハハハハwすまんな、人と話すの慣れてなくてw」
特徴的な笑い声に驚く。
「い、いえ。え〜…○○っていいます。よろしくお願いします。」
「よろしくな、ご主人。あと、敬語やめてや。」
「わかり…わかった。ゾムもご主人はやめて。ゾム、
早速なんだけどしてほしいことがある。」
「ええよ。なに?」
決心を決め、恥を忍んで頼む。
「…抱き締めてほしい。ハグ。」
「…ええよ。ほら。」
ゾムは手を広げ、こっちに来いと言っている。
私はこんなことを頼んだ自分に恥ずかしくなりながらもゾムの腕の中に入る。
新品の匂いがして、人間ではないことを確認した。
だが、社畜生活の自分にはよく効いた。
幼い頃、母によく抱きしめられた。
母の匂いや、母についた料理の匂いが大好きだった。
母に甘えられるいい機会だった。
それが当たり前だと思い、友人と話していたところを同級生に聞かれていた。
どうやら私の世界の常識は外では非常識だった。
そこから先は思い出したくもない記憶だ。
「○○、泣いてるけど、どしたん。何かやだったとか?」
私は気づけば泣いていた。ゾムに母を重ねるとは思いもしなかった。
「….なんでもない。」
私はそう言うが、ゾムは困惑している。
新品の匂いと涙のあとが部屋に充満する。
よろしくね、人形さん。