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ゆる作ウィーク/3日目

私の才能に興味はない

私は文恵。ちょっと、勉強が出来るごくごく普通の小学生だ。

私は母親に期待されている。なぜなら、兄の光輝が優秀だからだ。

「光くんは頭もいいから、文恵もきっと…!」

という私には全くもって迷惑な話だがお陰でそこそこな点数も取れるようになり五教科の平均点は82点をキープし続けた。それは努力したの数に比例してくる。きっと将来の役に立つだろうという先を見据えた考え方だ。

だが、私の「才能」を求め利用されるだけされるばかりだった。だから、「私自身」を見て評価してくれることも、認めてくれることもなかった。良い点をとれば周りからはただ雑に利用され、時にはわけも分からず冷たい視線を感じることもあった。そして遂に、どの教科でもどのテストでも満点をとれるようになった。

満点をとり、初めて花丸がついたテストが返ってきた時にはいつも以上に冷たい視線を感じ、言われた無意識の嫌味に傷ついていた。

学年が一年上がり五年生になった。そこで出会ったのは素直で優しい一人の女の子だった。丁度、後ろの席に座っていたその子、突然私に向かって

「え!?ひゃく!?小池さん凄いね!!え~?どうやってとるの?私、勉強できなくてさ!」

と、話しかけてきたのだ。彼女の名前は「天野栞」と言って、とてもじゃないが私を利用している感じとはどこか違う。私の鋭い感覚がこの子がとても無害なことを示してくれた。私は丁寧に全ての答えを解説した。今までこんなに長く説明したことはない。

「小池ちゃんって物知りだね!!なんだか感慨深いなぁ⋯」

「何が感慨深いの?」

「ん?だってさ!!今まで私が出会ってきた頭が良い人の大半は性格が悪い奴らばっかだったし!小池ちゃんは女神みたいに優しいし!出会えたことに感謝感謝~!みたいな感じ!」

テンションが上がっている天野さんを見て、この子って明るくて面白い子と認識した。

それから毎日、天野さんと会話した。勿論、授業の話し合いでも天野さんと話した。会話をしていくうちに次第に心が開かれていった。天野さんといると何故か安心する。独特な感性を持っていることが発言の一つ一つからひしひしと伝わってきた。考えている間の仕草も愛らしく積極的で頼もしいと感じた。

「文恵って『将来について』っていうお題で何書いた?」

「あー、水質管理って書いたよ。栞は?」

また、ぶっ飛んだことを言うのかと思ったら

「小説家って書いたよ」

と、真面目な眼差しで言った。それを私は知っていた。そもそも将来、栞が生きているのかどうかなど知る由もないのだ。

「文恵って頭は良いけどたま~にごくごくたま~に抜けてるよね(笑)」

「んふふ、そうかもね」

栞が初めて私自身を見てくれた友達だった。だが、私は同じ中学校に通うことは叶わないのだ。まだ、そのことについて触れることは違うと思って、私は栞に

「また読ませてよ、栞の小説!」

と、頼んだ。栞は後でね、と言い自分の席に戻っていってしまった。

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