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ゆる作ウィーク/4日目
「ねぇ、これどういうつもり?」
今日、放課後に先輩から呼び出しを受けた天野は訳も分からず黙っているともう一人の先輩が
「天野でしょ?『しおあま』って垢、ウチらの悪口が書き込んであるヤツ」
天野はこんなアカウントのことなど身に覚えがなかった。たしかに、天野栞を名付けられては居るが、やはり知らなかった。
咄嗟にモノを言うことは状況的に違うと感じ、どう出るのかを黙って観察しているとその呼び出した先輩は
「黙っていて図星?部活の約束ごとでSNSではトラブル防止のため、人の悪口を安易に呟くことは禁止されているし、そのように定められているんだけど。知ってたよな?」
と、確認を取ってきた。そもそも天野は、『しおあま』というアカウントではなく、『あまリン@毎週土曜日配信予定☆』というアカウントでゲーム実況を楽しんでいる。もしも、迂闊に部活やリアルの生活を書き込み、万が一呟いてしまったら身バレに繋がり兼ねない。その上、天野栞という大人しいキャラとは一転して明るくふわっとしたハッチャケるキャラになっているため尚更バレたくはない。
「私ではありません。私の垢は存在しません。別の方々をお当たり下さい。」
冷静に丁寧に否定をし、その場を乗り切るために立ち回っていくと
「じゃあ、リア垢持ってないの?そんなわけないじゃない(笑)馬鹿にしてんの?今からその垢を見るために天野のアカウント貸して?早くよこしな?どーせ、持ってるんでしょ?しらばっくれん方がいいよ?」
と、先輩は反発した。天野は早く抵抗しなければならない。最悪の場合、身バレしてしまう。まだ、チャンネル登録者はせいぜい12万人とまだまだ人気とは程遠い。だが、この学校に在学している生徒数は約980人と結構な人数がいる。少々、可能性は低いかもしれないがバレていいことなど一つ足りともないのだ。
そんな複雑な心境の中、先輩たちはスマホを使い『しおあま』という裏垢を探している。突然、呼び出した先輩が
「キモ…(笑)何これぇ??『マジうざーい(笑)あんのユキ、私たちに何か言う前に自分を見つめ直してはいかがでしょーか?(笑)』だってさ(笑)こんな頭悪そうな呟き、天野以外に誰がいんの?」
と、廊下にまで届くような声で怒鳴った。急に、部室の扉が開いた。驚いた先輩たちが固まっているとそこには天野の担任が入ってきた。
「あら、雪ちゃん♪校内でスマホ持ってどーしたの?」
校内はスマホ禁止、生徒一人一人に専用の鍵付きロッカーが設置されている。つまり今、天野はスマホを所持していないことになる。
「あ、谷口先生!も、モノを探す時に出てきちゃって(焦)」
嘘だ、この先輩は今、平気で嘘をついた。天野は怒りの感情を抑えつつ谷口に
「私がSNSのアカウントで先輩方の悪口を書き込んだというデマ情報を流されました。私のアカウントは存在しません。ですが、疑ってきました。その腹いせにその証拠を雪先輩が提示しようとスマホを使って見せてきました。」
と、先程と同じテンションで説明した。
その話を真剣な眼差しで聞いていた谷口は
「…分かったわ、天野のアカウントの件ね。あとは私に任せて、栞さん。前田さんと高野さんは後で職員室ね。聞きたいことい~っぱいあるからね。栞さんは帰っていいわよ、また明日ね。さようなら」
と、天野を帰宅させた。そのあとの話は詳しくは知らない。
天野は後日、無実であることが判明した。なぜなら、天野は自分の活動について話したことがあるからだ。谷口は知っていた。(それに勝手に応援している、スパチャも最近になって初めて投げた。)
結果的に天野は身バレをせずに済んだ。これからも天野は飛躍し続けることだろう。