ララはレストランへ侵入し
変装すると、王の注文が来るまで待った。
本来だとシェフが料理を作り持っていくのだが
ララはシェフがメニューを作り終えたとき
気絶させ、毒を盛るつもりだったのだ。
(ん〜まだね。頑張って小さくなったのは
良いもののドラゴンが何故居るのかって言われそうだわ。)
言い訳が苦しいなぁと
考え込み、あることを思いついた。
(そうだ!シェフの助手で来ています
って言えば良いのよ!私ってば天才!)
ララは手を叩いてニンマリと
笑っていた頃、ロウヴェスは…
「うわぁぁぁ?!」
崖から落ちかけていた。
(んだよララの野郎…!こんなときに…)
岩にしがみつき、下を片目で覗いてみると
下は川で鋭い枝をした木が並んでいる。
思わずロウヴェスはヒェッと声を上げてしまった。
スピラエに変わろうが自分を優化できるかの問題だ。
おそらく出来ないだろう。
「…早く毒盛って帰ってこいよ!!」
ロウヴェスの叫びは虚しく
やまびこした。そんなときララは…
「はい。こちら高級ビーフシチューでございまぁす!」
料理に毒を盛り、王に渡していた。
王は豪華な王服を着て
「ありがとう。」と言い、ビーフシチューを口にした。
ララはそれを見届けると
その場から立ち去った。
ララの去ったあと
扉の向こうで叫び声が響き渡ったことなんて
言うまでもないだろう。
「さ、ロウヴェスを迎えに行こうかしら♪」
ラ〜ララ〜♪と鼻歌を口ずさみながら、ララは
ロウヴェスの元へ飛んでいったのであった。
俺がもがき苦しんで約十分。
ララは来ない。鳥のさえずりでさえ騒がしい。
なんならザァザァという川の音でさえ恐ろしくなった。
スピラエの能力も効かない。
ララも居ない。
これこそ絶体絶命だ。
(頼む…来てくれぇ…)
祈るように岩にしがみついて
怒りを岩にぶつけていた。
足で岩を蹴り上げて何度も舌打ちをした。
けれど状況は変わらない。
それから二十分。ようやくララの姿が見えた。
「すまない。乗せてくれ!」
ララに手を伸ばして言うと
ララはニヤニヤとしてこんなことを言った。
「頼み方ってのがあるでしょう?」
「ほら、助けてくださいって言いなさいよ。」
「……チッ」
「…………助けて…ください。」
お手上げだったこともあり
すんなりと言ってしまった。
すると、俺の手を取りララは家の中に入れてくれた。
「よし。仕方ないわね。」
「お前が言えって言ったんだろ?!」
「うふふ。まぁね。」
ララは微笑んで
あることを言った。
「動画をもう撮ってあるから、
これをリーズ国内に配信すれば大丈夫よ。」
「え?どんな動画だ?」
「私が王を倒した犯人よ。
言うことを聞かなければ国民全員どうなるのか…
分かってるんでしょうね!!
人間と仲良くしなさい!美女の命令よ!」
「って言ったわ。」
美女は余計だろ…なんて思ったが
まぁ、これを流せば
強さ優先のゴブリンは言うことを聞くだろう。
俺はOKを出し
他の敵対国を調べようとヨーロッパに帰ることにした。
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