テラーノベル
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私は慌てて手元のメニュー表で顔を隠した。
最悪だ。よりによって、会社の人たちと飲んでいる場所に、アパートの隣人がいるなんて。
(気づかないで、気づかないで、こっちに来ないで……!)
私の必死の祈りも虚しく、宴会は盛り上がり、次々と追加注文が入る。
「すみませーん! レモンサワー追加で!」
美咲が元気よく手を挙げた。
「はいよ、レモンサワーね!」
軽やかな足取りで近づいてくる、あの聞き慣れた足音。
光はトレイを片手に私たちのテーブルへやってくると、テキパキとジョッキを並べ始めた。
「お待たせしましたー。あと、これ空いたお皿お下げしますね……」
光の手が、ピタッと止まった。
メニュー表の隙間から、私の目が光の目と、嫌なほど真っ直ぐに合ってしまう。
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