テラーノベル
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光の口角が、いじわるそうに、でも少し驚いたようにクイッと上がった。
「あ、……お姉さん? 奇遇だね」
「えっ……?」
テーブルを囲んでいた同僚たちの視線が一斉に光と私に集中する。
「桜川さん、この店員さんとお知り合いなんですか?」
美咲が目を丸くして、私と光を交互に見る。
背中に冷たい汗が流れる。
ここで「隣のボロアパートの住人です」なんて言えるわけがない。
「毎日ゴミ捨て場で会ってます」なんて言ったら、私の築き上げてきた『都心のマンション暮らしのキャリアウーマン』という設定が木っ端微塵になる。
……え、あ、いえ。知り合いっていうか……」
私がしどろもどろになり、グラスを握る指先が震え出したその時だった。
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