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「あ、らんくんだ。」
学校へ向かう途中。昨日の雨のせいか、空気は澄んでいて空は晴れていた。歩いていると横断歩道の前にLANがいた。
「らんくーん!」
こさめが声をかけると、LANは嬉しそうに手を振ってきた。
「おはよ!」
「おはよーこさめ!」
「昨日はびっくりしたで?喧嘩になりそうやったから、どうなるかと思ったわぁ」
「www あれはちょっと熱くなりすぎたかな。でも、あいつらと仲直りできたから大丈夫やろ」
「そっか、良かった。」
こさめは少しホッとした表情で答えた。学校に着くまでの道中、二人は昨日の出来事やこれからの学校生活について楽しそうに話していた。
「いるまー!」
「おー、なつ。おはよ」
待ち合わせ場所の歩道橋の上で、いるまは待っていた。いつものように白いイヤフォンで曲を聴いているようだ。暇72はずり落ちたヘアピンを戻しながらいるまに微笑んだ。
「いるま何聴いてるん?」
「え、悪魔のオルゴール。」
「へぇ〜俺にも聞かせろよ」
「いいけどなんでw」
「別にいいじゃん…」
そう言っているまはイヤフォンの片方を暇72に差し出してきた。暇72はいるまからイヤフォンを受け取り、自分の耳に装着した。
流れてくる音楽は重厚で少し不気味な雰囲気を醸し出していたが、同時に魅力的でもあった。
「うん、いい感じだな。好きかも。」
「だろ?これ、最近のお気に入り。」
曲を聴いていると、何かに気づいた。
「…この歌歌ってるのってもしかして…」
まさか、と暇72は驚いた表情でいるまを見ると、彼は少し恥ずかしそうに顔を背けた。
「まさか、いるまが歌ってる……のか?」
いるまは背を向けたまま微かに頷いた。
「…そう。俺、歌ってみた動画投稿しててさ、…これもそのひとつ…悪いか?」
暇72はしばらく黙っていたが、やがてニヤリと笑った。
「めっちゃいいじゃん!いるま、隠れてこんなことしてたんだな。もっと早く教えてくれよ。」
いるまは少し照れくさそうに笑った。
「なんかなつにいうのが恥ずかったんよ………ありがとな…。そう言ってもらえると嬉しい…」
「ツンデレだなぁ!いるまぁ!w」
「なつに言われたくねぇよ!///」
いるまは顔を真っ赤にして言った。その顔がなんだか可愛くて、暇72は思わず笑ってしまった。
二人は肩を並べて歩きながら音楽を共有し、静かに楽しんだ。いつもの日常が少しだけ特別に感じられる瞬間だった。
「今日も学校、頑張ろうな。」
「うん、頑張ろう。」
二人は微笑みながら、学校への道を進んだ。
「すちくん!」
横断歩道を渡っていると、急に後ろから声がした。
「おはよう!」
振り返ると、そこにはみことがいた。なぜか頭の上で蝶がひらひらと舞っていた。
「おはよー。みこちゃん、なんで蝶々…w」
「うぇ?さっき草むらに落ちそうになって…」
「おっちょこちょいだねぇみことちゃんw」
「べつにいいでしょ!」
みことは悔しそうに笑いながら駆け寄ってきた。すちは軽く肩をすくめて笑った。
「でも、そんなみことちゃんも可愛いよ。」
みことは少し赤くなって顔を背けたが、その後すぐに明るい笑顔に戻った。
「ありがとう、すちくん。でも、今日は何かいいことが起こりそうな気がするよ。」
すちは微笑んで頷いた。
「そうだね。今日も頑張ろう。」
二人は並んで歩き始めた。朝の爽やかな空気と共に、新しい一日の始まりを楽しむように話を続けながら学校へ向かった。みととの頭の上の蝶は、無邪気に羽ばたいていた。なんだか切ない気持ちになって、すちは目を伏せた。
入学して二日目の昼。こさめはLANと屋上で弁当を食べていた。晴れた空はこさめの目と同じ色をしていた。
「こさめって誕生日いつやっけ」
「こさめは六月二十三日。らんくんは?」
「おれは四月十八日。」
「へぇ!もうすぐだね!誕生日プレゼント何がいい?」
LANはしばらく考えると、口を開いた。
だが、言葉を発する前に誰かの声がした。
「あ、昨日の」
振り返ると、昨日のいるまと暇72がいた。
「お!いるまじゃん!なっちゃんも!」
「お前らも昼飯か」
「うん」
「まぁ、らんくんこさめ以外友達いないやろうなw」
「ねぇひどくない!?w」
LANは笑いながら答えた。いるまも暇72も笑いながら座り込んだ。
「ここで食べるの?」
「うん、今日はみんなで一緒に食べようよ。」
LANが提案すると、みんな同意して弁当を広げた。
「ところで、らんくんの誕生日プレゼント、何がいいか考えてたんだよね。」
こさめが話題を戻すと、いるまが一瞬考え込んだ後、真顔で答えた。
「LANのことだから、なんか癒しとか欲しそう」
「おー!それいいね!じゃあ、探してみるね!」
こさめの嬉しそうな顔に、LANも笑いながら頷いた。
「あれ!いるまちゃんと暇ちゃんだぁ!」
後ろから柔らかい声がした。振り返ると、緑色の髪の毛の人と金髪の人がいた。
「…?誰?」
こさめとLANが言った。するといるまが言った。
「こいつらは昨日一緒に帰ったやつ。緑のがすち、黄色いのがみこと。」
すちとみことはニコニコしながら近づいてきた。
「やっほー!今日はここで昼ごはん食べてるんだね!」
みことが言うと、LANが頷いた。
「うん、みんなで一緒に食べるのも楽しいしね。」
すちが曇りのない笑顔で言った。
「俺たちも一緒に食べてもいいかな?」
「もちろん!どうぞどうぞ!」
こさめがにこやかに答えると、すちとみことも一緒に弁当を広げ始めた。
「ところで、すちとみことはどんな部活に入るん?」
LANが興味津々で尋ねると、すちは少し考えてから答えた。
「おれはぁ…軽音部か美術部かなぁ。」
「僕はまだ決めてないけど、みんなが軽音部入るなら僕も入ろうかな!」
LANが笑顔で頷いた。
「じゃあ、みんなで軽音部入るのもいいかもね!」
その言葉に全員が同意して、楽しい昼食時間が続いた。新しい友達と過ごす時間は、彼らにとって特別な思い出となった。