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🐙side
家に帰った瞬間ロウさんに問い詰められた
あんな事があったからか、ロウさんは俺のことを俺が思う以上に心配していたようだ
すごく不安そうな顔をして抱きついてきた
驚いた、彼は俺の意識が戻ったときでさえカゲツさんとライさんの一歩後ろで見ていただけだったから
スキンシップを取るイメージは全くなかった
それに遅れて申し訳なく思うのと同時に少し、不思議な気持ちがした
なんというか、形容し難い感情を感じた
記憶が戻ったらこの正体がわかるのだろうか
『あの、ロウさん、』
「小柳、」
『あ、小柳くん..?』
「なに、」
『記憶をなくす前の俺と小柳くんのこと、もっと教えてくれませんか』
しょうがない、心の奥底で感じていた違和感が気づいたら俺の脳内まで肥大化していたから
「………」
小柳くんは下を向いて憂いを帯びた顔で黙ってしまった
『ねぇ、答えてくださいよ』
「….言っただろ、お前とは友達で、ヒーロー仲間なだけだ」
「それ以上でも、それ以下でもない、ただそれだけ」
「記憶なくして身寄りがなかったお前に同情してシェアハウスしてる、何もおかしいことなんて言ってない」
『っ、でも、なんでそんな苦しそうな顔するんですか?』
だって、いまの小柳くんは今にも死んでしまいそうな顔をしているから
『ねぇ、もういいですよ、俺だって自分に向けられた感情に気づかないほど鈍感じゃないですから』
「っ、………はぁ、」
「わかった、俺とお前は恋仲だった」
「今のお前が記憶をなくす前から、前のお前が記憶をなくす前から……」
諦めがついた小柳くんは俺の感じた違和感に応えるように話してくれた
”好意”それが俺に向けられた感情の正体
「もう、もういいんだ、どれだけ俺が大事にしてもお前は忘れるんだから」
「このまま隠し続けて友達として、お前の近くにいるつもりだった」
「その方が心が休まるから、つらくないから」
『………………..』
そこまで悩んでいたとは想像もしていなかった
病院で目覚めたとき、友達という言葉が少し詰まっていたのは、「ロウさん」って呼び方に反応していたのは
全部俺への想い故のこと、全部俺への憂いと絶望だったんだ
理解して初めてちょっとずつ感じていた違和感が紐解かれていく
小柳くんはため息をついて俺の腕を抱き寄せてしゃがみこんだ
言葉が出ない、小柳くんが抱え込んでいる思いに俺は対応できない
対応する資格がない
「全部話した、これでお前の疑問は解決か?」
「じゃ、今のお前とは恋人じゃないから」
さっきまで抱いていた俺の腕をぱっと離し何事もなかったかのように部屋へ戻っていく
そんな小柳くんの後ろ姿を映した俺の瞳は居間の電気と共に揺れている
どうするべきだった?どれが正解だった?どうして、どうしたら、どうやって、
どれだけ考えたって浮かんでこない
そりゃそうか、俺は小柳くんに好意を抱いていない
小柳君が吐露した気持ちを聞いてもなお好意を抱くつもりはない、抱けない
いまから好きになるなんて、同情の気持ちでしかないのだから
↓自我
こんな10話まで長々と書いてしまって申し訳ないです
全然まだ続きます、ごめんなさい
15話ぐらいで完結にできたらいいな~…(願望)