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氷の雨の中を突き進むが、大量の氷塊が襲ってくる。それをゲイルチュールで砕いていく。凍結していても、なんとか使えるな。
それにしても……くそう、間に合わないか……!
ワーグナーは、かなり先へ行ってしまった。このままでは、スコルが――む?
突如、黄金の光が『フリーザーストーム』を吹き飛ばし、相殺した。こ、これはまさか!
「むぅん!!」
一気に氷の雨が吹き飛び、視界良好となった。あのキラキラとした金の煌めき。あれは間違いない。
アルフレッドに与えた最新の武器『黄金の箒』だ。すげぇ、今は見事な『剣』の形となり、顕現している。
まるで幻のような透明かつ黄金の水晶剣と姿を変えていた。なんて美しい。ただの箒があんな芸術的な剣の姿になろうとは!
「な、なんだ……なにが起こった!」
「おいたはいけませんな、ワーグナー様」
「ア、アルフレッド! お前、一週間ほど前にドヴォルザーク帝国中を廃人のように彷徨い続け、挙句の果てに発狂して港へ飛び込み……その後、嵐に巻き込まれて行方不明となったと聞いたぞ。普通、死ぬだろ」
「あの程度の嵐、そよ風ですよ。それに彷徨い続けたのではないですよ。ラスティ様を捜索していたのです。そして、私は気づいた……ドヴォルザーク帝国にはもういないのだと。だから、海へ飛び込んだ」
「狂人か、貴様! そんな愚弟を救う価値などあるか!」
「価値があるかどうかではないですよ。私がラスティ様についていきたいか、そうでないかです」
驚異的な魔力を漂わせ『|黄金の箒《ゴルトブルーム》』を放つ、アルフレッド。さすがの威力にワーグナーもビビって氷の壁で防御していた。
よくやってくれた、アルフレッド。おかげでヤツは隙だらけだ。
「ワーグナー!! お前はこれで落ちろ!!」
「ぐっ、背後から攻撃するきか!? 卑怯だぞ!!」
「戦いに卑怯もクソもあるかあああああ!!」
武器の凍結が消え、元に戻った。
状態異常の凍結は五分もすれば自然解除されるようだ。これで終わりだ。
「や、やめろ……ラスティ。俺達は兄弟じゃないか!」
こんな時ばかり都合よく兄弟だとか言いやがって。もちろん、容赦はしない。スコルを狙った事も許せない。今の俺には“怒り”が沸き上がっていた。
手に力をグッと込め、ゲイルチュールに風属性を纏わせた。やがて、おびただしい電気がバリバリと周囲に発生。俺は、武器を思い切り強振し、技を穿つ――!
「サンダーブレイク!!!」
蒼白くも激しい雷撃がゲイルチュールから放出。雷は光速でワーグナーの背中を襲う。これでアルフレッドの攻撃と挟み撃ちとなった。
「がはああああああッ!!」
完全命中。大爆発が連鎖し、交わった。猛攻撃を二つも受けては無事では済まないだろう。砂埃が晴れると、そこには倒れているワーグナーの姿があった。
恐らく、重症は負っているはずだろう。確かめに近づこうとすると、あのローブを羽織る副団長がワーグナーを|庇《かば》った。そういえば“手を出すな”とワーグナーから命令されていたせいか、一歩も動かなかったな。
状況を注視していると、副団長はフードを取り――素顔を晒した。……こ、こいつは!