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[侑編]
今日は侑が練習休み。
久々に一緒に夕ご飯を食べられる日。
🌸(喜ぶかなって思って…)
張り切って煮込みハンバーグを作り、
テーブルを綺麗にして待っていた。
でも――
侑から届いたのは
《急に呼ばれた。ちょい遅れる》
その一言だけ。
(しょうがないけど…さみしいな)
時計の針が何度も一周する頃、
ようやく鍵の音が鳴った。
「ただいま〜って……え、すげぇ匂い」
侑は鼻をひくつかせて
部屋全体を見渡す。
テーブルに料理、
温め直した形跡。
そして眠そうな彼女。
「……お前、これ全部俺のために?」
🌸「期待してたのに…急にいなくなるから」
小さく拗ねた声。
侑は一瞬だけ目を伏せて、
すぐにいつもの余裕の笑みを崩した。
「はぁ〜…ほんま可愛いなぁ、お前」
歩み寄って、
後ろからぎゅっと抱きしめる。
「ごめんな、🌸。
せっかく待っててくれたのに」
その声は、
いつもみたいに軽くなくて。
「…俺のこと、待ってくれるの嬉しい。
めっちゃ嬉しい」
胸に顔を埋めながら言うその言い方は
ずるいくらい優しかった。
🌸「ちゃんと先に言ってくれれば…」
「うん。次からもっとちゃんとする。
だからもう、そんな顔すんな」
顔を上げられて、
真っ直ぐな瞳とぶつかる。
そして突然、頬にキス。
「寂しかったんやろ?
言ってええからな。全部」
🌸「…寂しかった」
囁くと、侑の目が細くなる。
「俺のこと、
そんなに好き?」
意地悪な聞き方なのに
耳まで真っ赤で。
🌸「好き…」
「知っちゅーよ。
俺もや」
おでこ同士をこつんと合わせる。
「今日のん、冷めても全部食うから。
お前が作って待っとってくれたご飯、
残したら罰当たる」
ふわりと笑って、
包み込むみたいにふわっと抱きしめられていた。
でも、 腕の力は少し強め――
独占の証みたいに。
待ってた寂しさも、
抱きしめられる安心も、
ぜんぶ温かくて。
「ほな、一緒にあっため直そ?
……その前にもう1回だけ」
ちゅ。
「愛してる」
その言葉が
一番のご飯だった。