「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
「今日もごはんありがとうね、ミオちゃん」
「ううん、おいしそうに食べてくれるからうちもうれしいよ」
「ならこれからもいっぱい作ってね」
「もちろんだよおかゆん、洗い物おわらしたいからちょっとまっててね」
「手伝うよ」
「大丈夫だよ、ありがと」
うーーん、と思いながらソファに座り込むぼくは猫又おかゆ。ぼくだって洗い物くらいできるんだけど
それにしても今日のミオちゃんはテンションがいつもより低い、というか、なんだか…うーん、むずかしい、、
ぼくの恋人のミオちゃんはいつだって優しい。完璧な恋人だ。
でもなんか、どこか様子がおかしい気がする
いつもの優しいミオちゃんなんだけど…
つかれてるのかなあ
ピタッと水の音が止み、ミオちゃんの洗い物が終わったのがわかった。
ミオちゃんは料理をしてたときからずっと結んでいた髪をほどき、ぼくのいるソファに腰掛けた。
「ミオちゃっ…」
ミオちゃん、と声をかけようとすると急に体重を預けるかのようにぼくにもたれた。
びっくりはしたもののあまり気にしなかった。
「ミオちゃん」
「ん」
「洗い物までありがとう」
「うん」
なんだか、口数が少ない。
すると急に頭をぼくにすりすりと擦り付けてきた。
「み、ミオちゃん?」
「うん」
「どうしたの」
なに答えてくれないミオちゃん、そこでやっと、ミオちゃんはぼくに甘えたいんだと気づいた、配信や収録続きで疲れが溜まっていたのか、でも甘えたい時はそうと言ってくれないと、ねえ…
つかれてて甘えたいミオちゃんには悪いけど、こっちだって色々考えちゃったんだから。
「ミオちゃん、どうしたの」
なにも言わずにぼくの手を自分の頭に持っていくミオちゃん
なでてほしいんだろうな、とはわかったけど撫でてやらない、教えてくれないと
自分で言うのもなんだが、ぼくは察しがいい方だと思う。
ミオちゃんが甘えたい気分のときはすぐに気付くし、いままではすぐに全力で甘やかしてあげてた
いつもは甘やかしてもらってるしね
ほんとうに滅多に甘えてくることはないんだけど、甘えてくるミオちゃんはいつも喋らない、はずかしいんだと思う。
でもたまには見たいよね、おねだりするミオちゃん
「…おかゆ」
「どったの」
なにも喋らず「甘やかしてくれ」と言わんばかりに、上目遣いでぼくを見つめてくる、
かわいいからやめてほしい。
まあでもおねだりしてくれるまでは、我慢
というか、ここまできたらもうおねだりするしかないと思うんだが
「おかゆ…」
弱々しい声でぼくの名前をもう一度呼ぶ
「どったのミオちゃん、おしえてくれないとわかんないよ」
「…なんでよ」
ミオちゃんはきっと、ぼくがわかっててやってることに気づいている
なかなかおねだりしてくれないミオちゃん
でもここまできたらぼくだって折れない。
ミオちゃんにはほんとうに申し訳ないけど、ぼくに頭をすりすりしているミオちゃんをみるともう少し、いじわるをしたくなる。
「ぼくねむくなっちゃったよミオちゃん、そろそろ寝ようか」
このままミオちゃんが我慢の限界迎えるまで待つ訳にもいかないし、なにより、ぼくが持たない。
だからもう、強引かもしれないけど
「え、やだ」
「でももういい時間だよ?」
「でも…」
「やだじゃないよ」
「ねえ、おかゆ…」
はやく、はやくおねだりしてくれ!ぼくだって早く目一杯甘やかしてあげたいんだ!!
「ミオちゃん、ぼくに教えて、どうしたの」
なかなか口を開いてくれない
「もうぼく先ベッドいっちゃうよ」
そう言ってソファーから立ち上がった瞬間
「まって」
ミオちゃんに袖を引っ張られ、再びソファーに腰掛ける。
「どうしたの」
今日、なんかい「どうしたの」と言ったものか
「…頭、なでなでしてよ」
ミオちゃんは涙目になっていたが、ぼくの目をしっかり見つめながらそう言ってくれた。
顔は真っ赤だった。
「っ!ミオちゃ〜〜〜ん!!」
おねだりしてくれたミオちゃんがかわいすぎて今日一番、大きな声を出してしまったと思う。
頭を撫でてやるとミオちゃんは嬉しそうにぼくに抱きついてきた。
「ごめんね、ミオちゃん、おねだりするミオちゃんが見てみたかったんだよ」
「…ほんとに最低」
そんなこと言いながらぼくに抱きつくことをやめないし、撫でるぼくの手に頭をすりつけてくる。
頭にあった手をどけると、え、と言う顔をして、ぼくの手を取り再び自分の頭の上に戻す。
「今日は甘えたさんだねえ」
「んぅ」
いつもはぼくのママだけど、今は赤ちゃんみたい。
その夜、寝るときはぼくに抱きつきながらぼくの腕の中で眠るミオちゃんなのでした。
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