テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
〈smile side〉
きりやんの指示で 俺は空き教室待機、なかむとぶるーくが音楽室側の階段入り口で見張り、シャークんときんときで反対側の階段入り口の見張りという形になった。
音楽室のある階数はほとんどが部の物置か、使われていない教室ばかりだから大量の生徒が引き込まれる恐れはない。要は音楽室の階に誰も近づかせないってことだ。
kr 「それじゃあ、もう早速だけどやりに行くよ。スマイルは絶対に教室に出ないで」
sm 「わかってるって」
その日はやけに気分が良かった。
雨でも体はだるくないし、薄暗くてもちっとも怖くはない。
ただ青々とした葉の香りを吸い込んだ時のような、清々しい風を浴びた時ような、昼寝につくために深呼吸をした時のような漠然とした恍惚感。
今日はいいことがありそうだ。
…………………………………………………*
〈kiriyan side〉
飲み込まれたのは集団の生徒。
壁に貼られているのは4枚。すなわち4人の怪異分の力を宿すもの
失敗したら、階段前にいるみんなにも被害が及ぶ。対抗できるだろうか。
扉からはかすかなピアノの音が聞こえる。
軽やかでステップを踏みたくなるようなリズム、口ずさみたくなるような音色。
そう、これが罠
窓からはキラキラとした星のような眩しい雨が入ってくる。風を纏えば、雫が味方をする。
彼らが音楽で誘惑するのなら、俺はこの霧雨でお前たちを誘き寄せる。
⁇ 「汝はなぜ、我らを助ける」
kr 「お前らを助けてるんじゃない。仲間を守ってるだけだ、勘違いするなよ」
⁇ 「達者な口だな。だが甘く見ない方が良い」
⁇ 「我はすでに助からぬ。離れよ」
kr 「何言ってるんだ?」
⁇ 「我はお手つきモノということだ。」
バチッ
kr 「、っ!?」
水に感電するような痺れる感覚。
くそ、右腕が麻痺した。
でもこの程度でくたばるようなものだと思われては困る。 こっちは学校以外でもこの地域を夜を守ってきてんだよ
kr 「、、、ふぅ。」
雨が晴れて伏せていたのは小さな鹿だった。
kr 「まだこんなにも子供じゃないか。」
子鹿の割に異様な力と、先ほどの発言
---お手つきモノということだ
お手つきモノって何だ?
嫌な予感がする。
---ダメだって!スマイル!!!
kr 「スマイル、?」
すでに助からない。
子鹿に4体分の怪異の力。
お手つきモノ、、、、。
kr 「っ、そういうことか!まずいっ」
kr 「スマイルっ、ここにきちゃダメだ!!」
あぁ。まただ
あの眼。まるであいつのような冷たい眼。
そんな色で、そんな温度で、俺の力を見ないで。俺に惹かれないで。ついてこないで。
kr 「スマイ”っ、」ビリビリリッ
---「もおおぉ、やっと見つけた。」
---「スマイル君ってきみのこと?」
---「ダメだよ。混じりモノが人間といちゃったらさ」
…………………………………………………*
〈smile side〉
なぜ俺はみんなとは違うのか。
なぜ俺はみんなよりも劣っているのか。
なぜ俺はみんなに迷惑をかけるのか。
なぜ俺は一部の記憶が欠如しているのか。
sm 「何か、何かが違う。でもなんだ?」
教室に響く冷たく静かな俺の声は雨にかき消されそうだった。
サワサワァ
あぁ、まただ。
この心地よい風が俺を誘う。
優しくて、つい甘えそうになるその撫で方、 その運んできた暖かさを抱きしめてとっておきたいような、、、。
自然と本能をくすぐるように惹かれる、あの瞳と似たあたたかさ。
---、、、た
---、、めだっ!
---、、マィル、、、スマイル!!!
sm 「はっ、、、!」
どこだここ。
辺りを見渡しても暗くてよく見えない。
体は特に痛くない。怪我はないんだろう。
グッグッ
ジャバジャバッ
手と足が椅子か何かに縛られている。
足元は水浸しだ。足首らへんまで水があるだろうか。
sm 「きりやん?」
声がかなりこもる。
ということは狭めの空間だろう。
---「やぁやぁ、お目覚めかな??」
パチッ
⁇ 「僕は今から君とお話をしようと思うんだ」
視界が明るくなり、声の主の姿が露わになる。
制服を着た学生だ。しかもこの学園の制服
見た目は俺たちよりも二つほど下だろうか?幼く見えた。
俺とよく似た紫色の瞳を持ち、茶髪がサラサラと隙間風にやらされている。ごく一般的な学生だった。
sm 「誰だお前。みんなはどこにいる。目的は何だ」
⁇ 「こーら。質問は一つずつしなさいって習わなかったの?もぉ、全く。」
見た目も幼いためか、拗ねた表情は幼い自分を見ている気分になる。
親しみやすい?いや、こういうタイプこそ裏が計り知れないから恐ろしい。
sm 「まずお前は誰だ。」
⁇ 「ふふーん、僕のこと知りたいんだ」
sm 「いや、そういうわけじゃない」
⁇ 「まあまあ、遠慮なさらず」
何を言ってるんだこいつ。
あぁ、ぶるーくやなかむのようなタイプか。少なくとも脳死で答えるシャークんとは違うな
、、、、あれ俺。今何でみんなのこと考えてる余裕があるんだ?これはまずい状況じゃないのか??
こいつの雰囲気もあってか、自分の置かれている環境がどれほどの危険があるのか甘くみ過ぎてしまっていた
⁇ 「僕はこの学園の怪異の長だよ。」
長 「今日は、彷徨う君を元の場所へ戻すために、ここへ来させた。」
コメント
1件