テラーノベル
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「ん〜、美味しいっ✨️」
「よかった、」
目の前で僕の料理を幸せそうに頬張っているのは、この屋敷に攫ってきてから三ヶ月が過ぎるどぬだ。
昨夜、どぬに色々秘密を打ち明けさせられて少しココロが軽くなってきた気がする。僕の親は凄く優しい人だった。ドラキュラに突然変異して生まれた僕のことを異物扱いせず人として一緒に過ごしてくれた。医者だからっていうのもあるのかな、母は精神科医だったからものの見方や考え方がどぬの親より広かったんだろう。
人によって愛が違うことを知ったあの夜から、僕はどぬの愛し方を日々追求している。どぬは僕の近くにいるといつも笑っていて…可愛い。僕が親につけられた名前は月亜(るうあ)だから僕が月だとしたらどぬは太陽だな。そのくらい眩しくて大切で手放せない存在。どぬの本名、聞いたことないな…どぬの親が勝手につけた愛称がどぬなはずだから。いつか…知れるかな。
…どぬはいつでも僕に血を吸っていいのにとただ純粋に伝えてくる。ドラキュラにとって人から直接吸血するというのはそのまま、その人とのエンゲージメントつまり婚約なのだが絶対知らないのだろう。まぁ、いつか…どぬは本当に僕のものになるだろうな、、、楽しみだけれどいつまで経っても勇気が出ずに告白することも、吸血の意味もいつ伝えるかなんて、自分にだって分からない。
「…」
「もふくん?大丈夫??さっきからずっと真顔…」
「あっ!?大丈夫!!」
ずっと考え事をしてたから、どぬに心配させちゃったみたい。
「もぉー、なんか考えてるでしょ、」
「か、考えてないって」
「嘘ー、?」
…最近凄くどぬが鋭い気がする。近くに居すぎてるのかな。唯一無二のきれいなオッドアイで真剣に見つめてくるどぬが僕のすべてを見透かしているようで、隠してたっていけないという錯覚に襲われる。
「か、考えてましたごめん」
「いいよもふくんも秘密にしたいことくらいあるでしょ?
あでも、苦しかったら絶対秘密にしないでね?」
「うん、」
すごいな、僕の不安まで見抜けるんだ。そしてかけて欲しい言葉を全部くれる。こんなに優しくて可愛くて頼りなくて僕のもののどぬが凄く凄く大切で絶対に必要な存在だって改めて思った。
「へへ、よかった。
表情明るくなったし、呼吸もちゃんと出来てる。大丈夫だね」
「え」
「ん?」
「そんなことまで見えるの?」
「あっ、えっと俺はさ、人の何倍もさ観察力があるらしくて人の動作とかでいろいろ物を見てしまう癖があってさ…
ごめん、嫌だった?」
え…?僕の目の前にいるのはどぬのはずなのに、死んだお父さんに見えてくる…
「ううん、ただッ」
「どうしたの?」
「この前なくなったお父さんに似ててッ、懐かしくてッ」
「もふくん、」
ぎゅっ
「うわッ」
「いつ?亡くなったの」
「えっとぉッどぬをッ、おいて用事に行った日ッ」
「そっか、帰ってきたときに表情がおぼつかなかったのは、それだったのか」
違う、それはあれだ…どぬがみるにはきっと早いだろうものを見てたから。幸い、わかってなかったから良かったけど。ここで嘘をついたらまたバレるだろう。でも、知られてはいけない。まだその時じゃない。
「う…ん」
「そっか、」
どぬは優しく言葉を発して僕を抱きしめた。
「頑張ったね、もふくん!
辛かったろうに誰にも話さないでその悲しみをよく耐えたね、」
「うんッグスッ」
「でもね、話していいんだよ、俺はもふくん以外居ないの。
頼ってくれていいんだからね、迷惑なんてたっくさんかけてね」
「ありがとッ」
やっぱり、見透かしてるんだ。すごいな、僕だったらどぬの立場のとき人の感情が恐くて逃げたくなるだろう。
俺がそばに居ないと、多分どぬは居なくなってしまうんだろうな。そのくらい儚い存在。だけどそばにいればずっと幸せになれる。
「どぬ、」
「ん?」
ちゅっ
「んわっ!?////」
僕から君への最初のプレゼント。ファーストキス。
「ずっと一緒にいようね、」
「うん!絶対離れない。もふくんと一緒に居たいな」
「僕も。一緒にいようね」
「へへ、ずっと一緒、約束ね」
「うん!約束!」
コメント
3件
初コメ失礼させていただきます!! 実は前々から楽しみにさせていただいておりました⋯! mfdnの駆け引きがもう⋯!! これからも頑張ってください!!