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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「さぁ、いよいよ次が最後の試験だぞ! お前たち、よく頑張ってきたな!」


試験官が声を張り上げて言う。

何十人といた受験者も、ずいぶんと数が少なくなっている。

シンヤ、ミレア、レオナード、アーシア、それにその他の冒険者が数人程度だ。


「最後の試験は、総合力試験だ! 残った者同士でバトルロワイヤルを行う! 最後まで生き残った者こそ、真の冒険者と言えるだろう! それでは、開始っ!!」


「「「うおおおおぉぉぉぉっっ!!」」」


詳細の説明を省略した試験官だったが、受験者たちの反応は早かった。

それもそのはず。

ここまで残っている者は、これまでに何度もBランク昇格試験に挑戦しては失敗してきた者か、あるいは初挑戦にしても念入りに事前調査を済ませていた者たちだからだ。

最後の総合力試験がバトルロワイヤル形式であることは当然想定していた。


一斉に受験者たちが動き出す。

剣や槍といった近接武器を持った者たちは、集団を組んで1人の受験者を狙う。


「お前ら、分かってんな!?」


「おおよ! こういった形式じゃ、まずは強い奴から狙うのが定石ぃい!!」


「覚悟しろやああぁあっ!!!」


彼らが狙うのは、シンヤだ。

攻撃力試験や防御力試験で抜きん出た実力を見せつけた難敵である。

早い段階で囲んで潰しておくのは、当然の判断と言えた。


「――シンヤ!」


「シンヤ兄貴っ!」


ミレアとレオナードが援護に向かおうとするが――。


「へへへ。お前の相手は俺だ」


「可愛いお嬢ちゃんと戦えるなんて、嬉しいねぇ」


「くっ」


「この野郎、ふざけやがって!!」


2人は、他の受験者たちに阻まれてしまう。

そして、シンヤの周囲には複数の男たちが集まってきた。

普通に考えるなら、万事休すだ。


いくら優秀な受験者でも、多数に囲まれると分が悪い。

そこらの有象無象ならまだしも、ここに残っている受験者たちは粒ぞろいなのだから。

しかし、シンヤは余裕たっぷりな態度を崩さない。


「ふーん。ま、いいけどね」


「なんだと? この状況でよくそんな態度が取れるな!」


「いやいや。だってさ……」


シンヤはニヤリと笑みを浮かべる。


「あんたら程度に負けるほど、俺は弱くないんで」


「ぬかせ!! 【ライトニング・アロー】!!」


「【フレイム・ジャベリン】!!」


「【アクア・ボール】!!」


男のうち3人が攻撃魔法を放つ。

雷、火、水の三属性。

さすがはBランクになろうという冒険者たち。

その威力は確かだ。

しかし――


「【イージス・シールド】」


シンヤが展開した障壁は、それらすべてを完璧に防ぎ切った。


「ば、バカな……」


「これはさっきの……?」


「チクショウ! 物理障壁じゃなかったのかよ! 魔法まで防ぐなんて……」


魔力で生成した障壁は、特殊な物理法則を持つ。

全てを防ぐ障壁を生成できれば強いが、その分魔力の消費が激しくなり、詠唱にも時間が掛かる。

通常は、そのあたりを総合的に考慮して特定属性のみを防ぐ障壁を展開する。

だが、シンヤならそんな些細な事情は無視できる。

彼の魔法技量はずば抜けているのだ。


「さて、次はこっちから行くぜ?」


「ひいっ!」


「く、くそっ!!」


男たちが態勢を立て直そうとするが、時既に遅し。


「【スタン】」


「「「ぐあああぁあっ!!!」」」


シンヤが放った雷魔法で、男たちはあっさりと倒れた。

彼は改めて、周囲の状況を確認する。


「【炎熱煉獄脚】ダ!!」


「【豪腕剣】!!!」


「「「ぎゃあぁあぁあぁあぁっ!!!!」」


ちょうど、ミレアとレオナードを阻んでいた男たちが撃破されたところだった。

シンヤの指導を受けている2人の実力は、受験者の中でも抜きん出ている。

正面からぶつかれば、彼女たちが敗けることはない。


「残ったのは俺たち3人だけか」


「さすがはシンヤだ。あたしの助けなんてイラナかったか」


「シンヤ兄貴が敗けるところなんて想像できねぇよ」


シンヤ、ミレア、レオナードの3人だけが残った。

――いや、もう1人だけ生き残りがいた。


「ぜぇ、ぜぇ……。わ、わたくしを忘れてもらっては困りますわ!」


アーシアだ。

彼女も、なんだかんだで勝ち残っている。


「よしっ! そこまでだ! 諸君の実力は十分に分かった!!」


試験官が声を張り上げる。

バトルロワイヤル形式の試験であるが、何も最後の一人だけが合格というわけでもない。

実力を見ることが目的であるため、これ以上試合を続けさせる意味はないと考えたのだ。

しかし――


「まだダ。シンヤにあたしの実力を見せていナイ!」


「そうだぜ。オレも成長してるってことを、シンヤ兄貴に見せつける絶好のチャンスだ!」


ミレアとレオナードは納得しない。

シンヤへの対抗心が燃え上がっているからだ。


「おい、お前ら! いい加減にし――」


「まあまあ、落ち着けよ」


試験官が怒鳴ろうとするが、シンヤはそれを遮った。


「いいじゃないか。せっかくやる気なんだし、止める必要もないだろう? ”3人”とも、俺が軽く揉んでやるよ」


「へ? あ、あの……わたくしはできれば戦いたくないのですが……」


何かを呟いているアーシアを無視し、シンヤは両手に魔力を集中させた。

3対1。

手を抜いて勝てるような相手ではない。

シンヤは全力で戦うことを決意する。


「【雷光一閃】!!」


ピカッ!

ゴロゴロゴロ……!!

一瞬にして、辺り一面をまばゆい光が覆い尽くした。

それはまさに、閃光のような一撃であった。

そして――。


「ううぅ……」


「な、何が起きタ……?」


「どうしてわたくしまでぇ……」


レオナード、ミレア、アーシアは、あっさりと地面に倒れ伏し、戦闘不能となったのであった。

魔法の探求者、異世界で無双する ~美少女奴隷と迷宮を探索して、何やかんやで成り上がっちゃうぜ~

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