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海岸におじさんと老いぼれあしかが6匹住んでいました。
あしかの6匹はそれぞれ海遊館にいた頃得意な芸がありました。
「バランスが大事なんじゃよ。」
いっぴきめがが鼻の上でボールを乗せながら話しました。
「人生もこれと同じ、バランスを崩さなければ、うまくやっていけるんじゃ。」
「魚はよーく狙うんじゃぞ!」
にひきめは空中の魚をパクッとキャッチして見せました。
「ただ待ってるだけじゃ腹はふくれん。ちゃんと狙って、チャンスを逃さんようにな!」
「ほら、みんなで一緒に拍手をすると楽しいじゃろ?」
さんびきめはがみんなでリズムよくヒレを叩く。
「友達ってのは、こうやって一緒に楽しいことをするのが大事なんじゃ。」
「ほれ、見つけたぞ!」
よんひきめは砂の中から何かを掘り出しました。
「生きてると、いろんなもんが隠れとる。ちゃんと探せば、大事なものが見つかるもんじゃ。」
「影はすぐに消える。でも、ここにあったことは本当なんじゃ。」
ごひきめは壁に影を映して遊びました。
「命も同じじゃ。長く残らなくても、ちゃんとそこにあったことは忘れんでおる。」
「さみしいときは、こうしてぎゅっとするんじゃ。」
ろくひきめは他のあしかとくっついて温まりました。
「仲間がいれば、寒くても、さみしくても、あったかいんじゃよ。」
あしかたちがここに来た理由はこうでした。
◆◆
いっぴきめのアシカは、大きく胸を張りながら言いました。
「わしは昔、ボールを鼻でくるくる回す芸が得意だったんじゃよ。昔は、みんな笑って拍手してくれたもんじゃ…でも、今は『もうそんなの見飽きた』って、誰も見向きもせんのじゃ。」
にひきめのアシカは、ため息をつきながら言いました。
「わしは輪っかをくぐるのが得意だったんじゃ。
でも、今は『そんなことしてないで、もっと新しいことしろ』って言われるのじゃ。前はあんなに喜んでくれたのに…。」
さんびきめのアシカは、ちょっと困った顔をして言いました。
「わしはお客さんに水をかけるのが得意だったんじゃ。でも、大人になったら『服が濡れる』って怒られるようになった。昔はみんな笑ってたのになあ。」
よんひきめのアシカは、遠くを見ながらつぶやきました。
「わしは踊るのが好きだった。音楽が流れると体が勝手に動くんじゃ。でも、今は『そんなの古臭い』って言われる。昔はたくさんの子どもたちが笑顔で見てくれたのに…。」
ごひきめのアシカは、ぽつりと言いました。
「わしは大きな声で鳴くのが得意だったんじゃ。でも、今は『うるさい』って言われるんじゃ。
前は拍手が起こったのになあ。」
ろくひきめのアシカは、小さく笑いながら言いました。
「わしら、何も変わっとらんのにな。変わったのは、人間のほうだったんじゃなあ。」
おじさんは、その姿を見て、ただ黙ってうなずきました。
◆◆
ここでおじさんが帰ってきて
お魚をあしかたちにあげます。
そのあとおじさんは海へ釣りに行きました。
そのころあしかたちは大おおかみに会い、
「こんにちは!こんにちは!うちのコです」
元気な小おおかみを見せてくれました。
あしかの いっぴきめがいいました。
「おひさまがのぼる前に泳ぐと、いちばんきれいな海が見られるんだよ。」
大おおかみは「うん」とうなずきました。
にひきめがいいました。
「お魚は岩かげにかくれてることが多いんだ。」
大おおかみは「うん、うん」とうなずきました
さんびきめは
「ちいさなケンカはしてもいいけど、いつか『ごめんね』って言えれば大丈夫。」
大おおかみはみっつうんといいました。
よんひきめは
「空を飛ぶ鳥の動きを見れば、天気がわかるんじゃよ。」
大おおかみはうんを4つ言いました。
ごひきめは
「海の中のすべての生き物が、つながっているんじゃ。」
大おおかみはふかーくうんといいました。
6ぴきめは
「優しい言葉をかけると、優しさが返ってくるんじゃよ。」
大おおかみはうん!といいました。
いっぴきめは大おおかみに 「最近わし海を泳ぐのも体が重くて寝てばかりじゃ わしはそろそろ海へ帰れると思うんじゃ あの人と姿を見せたくないから チビと一緒に来てくれないか?」
それからしばらくして、いっぴきはどこかへいってしまいました。
今度は砂浜へ大おおかみが来てくれましたが おじさんが追い払ってしまいました。
いくつか朝と夜がすぎたころ。
よんひきめのあしかが 小オオカミたちに
「お腹がすいたら、焦らずゆっくり探せば必ず見つかるんじゃ」といいました。
やがてアシカは居なくなってしまいました。 その光景におじさんは泣いてしまいます。
そこに大オオカミと楽しそうにはしゃぐ小オオカミがいました。
そうかお前がやったのだと おじさんは怒り、泣きました。
大オオカミは腰を低くし 「ろくひきめのあしかはいいました。 あなたのことが好きでしたとなので泣かないで いつでもわたしたちの味方でいて
ほんとうにありがとうございました
わたしたちはあしかさんたちにいろいろ教えてもらいました。
おひさまがのぼるときれいなうみがみえること。
おさかなはどこにいるのか
ともだちのなかよしになることだって
寒い日はみんなでくっついたり
どんないのちも海へ帰れることだって
最後言ってました。 いなくなってもずっと覚えておいてくださいと
とてもあなたたちに感謝してしきれません。 ありがとうございます
最後のあしかさんいってました。いなくなったらおじさんのことよろしくお願いしますって約束したんです。
私願ったんです。最後に大切にしていたひとと話せないかって海に願いました。伝えたいことを伝えられて本当によかったです。」
と大オオカミは感謝した。
そうして、おじさんはオオカミたちと、にぎやかに暮らすようになり、
それから、おじさんとオオカミたちは、いつも一緒に朝日を見たのでした。
おわり