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ゆり組オメガバ
だてなべ
宮舘side
楽しみすぎて寝れなくて。朝早く起きてしまったから少し早め…待ち合わせ30分前に来て彼を待つ。さすがに早すぎたのはわかっているが電車に乗ってしまったらもう止まれない、着いたら近くのコンビニとかで時間潰せばいいかと思っていたらまさかの連絡
『”すげえ早起きしちゃった。5分後くらいに着きそう笑”』
「”え、俺もう着いたよ”」
『”嘘だろ”』
二人とも早起きしてたみたい、彼も楽しみにしてくれていたのだろうか。だとしたら嬉しいことこの上ない。マスクの奥で笑みを浮かべながら返信して、そろそろ着くのであれば何処かに寄る必要も無いだろうとそのまま待ち合わせ場所で待つことに決めた。すると数分後、急ぐ足音が
『ごめっ…遅れた!!』
「大丈夫遅れてないよ、俺が早く来すぎちゃっただけだから笑」
駅からずっと走ってきてくれたのか息を切らして此方へ来る彼はいつもより少しお洒落しているようだった
「服似合ってる。髪もちょっと切ったでしょ、顔明るく見えていいね」
『ほんと?ありがと、笑』
今この瞬間、照れたように笑うこの彼は俺だけが知っていると思うと気分が良かった。
『…つかさ、来るの早すぎじゃね?』
「…楽しみで寝れなくて、笑」
俺の言葉を聞いてパチ、と瞬きする彼。あやばキモいこと言ったかな、なんて思うとふいっと顔を背けられた。あの時と同じ少し赤い耳。それが目に入ると同時にふんわり甘い匂いが俺の鼻腔を擽った
「あれ、翔太香水変えた?」
『ん?あ、うん。ブランド一緒だけどな、気付くもんなんだ』
そりゃ気付くだろう、明らかに変わっているのだから。いつもは爽やかな香りを好んで使っている彼がこんなにも甘い香りに変えたら俺じゃなくても気付く。この時は、そう思っていた。俺は彼の変化に気付けていたはずなのに、自分自身の変化には気付いていなかった
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渡辺side
早起きして何回も鏡見て、高校生くらいの乙女かよまじで…。本当に好きな人とのデートってこんなにも緊張して、不安で、楽しみなものなのだろうか。これが普通?それとも俺が変?軽く髪をセットしながら考えていたがそんなことどうでも良くなるくらい彼に早く会いたかった。今日のために新調した服も香水も、少し髪を切ったことも。彼が気付いてくれるかな、なんてこの後のことを考えながら香水をワンプッシュ。いつもより強気な俺で居たいから、いつもより少しだけスパイシーな香りを選んだ。車で行こうと思っていたけれど帰りは彼と一緒に電車で帰りたくて駅の改札を通って電車に乗る。車で乗せて帰っても良いけれど電車の方が待ち時間とか乗り換えとかのこと考えたら長い時間一緒に居られる、多分。あと彼に遠慮させなくて良いからこっちの方がいい。わくわくしながら彼にメッセージを送るともう着いていた、早すぎんだろ俺のこと好きなのかよ。…今日のデートで、少しだけでも好きになってくれたらいいな。駅を出てから人にぶつからないように小走りで改札を抜ける。あ、居た。一つ深呼吸をして彼の方へと足を進めた
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宮舘side
『はーー楽しかったぁ笑』
「流石に遊び尽くしたんじゃない?笑 」
『だなー笑、前みんなでシー行ったときも楽しかったけど二人でランドも悪くない』
野郎二人でランドとか余り見たことない光景だったけれど、沈黙なんて全く生まれなかったし待ち時間も移動中も退屈なんてしなかった。お互い30代にもなってこんなにはしゃげるだなんて。あれもこれも美味しそうだと調子に乗ってお昼ごはんを食べ過ぎたり、面白いサングラスある!と彼が持ってきたキャラクターのシルエット型サングラスを何故かお揃いで買ったり、ちょっと水がかかるだけのものかと思って乗ったアトラクションの座っている場所が悪くて足元がびしょ濡れになったり、インスタ映えを狙って写真を撮ってみたら半目になっていて二人で爆笑したり。色々あったけれど全部良い思い出だし全部楽しかった。彼も同じように思ってくれていることが嬉しくて、今日来て良かったなとしみじみ思う。あの半目の写真を阿部に送ったのは許していないけれど
「また、来られるといいね」
不意に本心が零れてしまった。やばい、困らせるだけなのになんでこんなことを言ってしまったのだろう。もちろんみんなでね、と付けたそうかと思った矢先にそれを遮るようにして彼が口を開いた
『そうだな、…欲を言えば、また二人で』
期待してしまっても、良いのだろうか。二人でパークを後にして電車に乗り込み隣に座ると、またあの香りがして、それと同時に今までに感じたことのない何かが湧き上がってきた。俺はこの感情に、まだ名前を付けられない
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渡辺side
彼がまた来たいと言ってくれたから、勢い余って二人で来たいと言ってしまった。非常に気まずい。驚いたような顔をした後、笑いかけてはくれていたがあれに対する返答はなかった。そりゃそうだよな、好きでもねえやつからあんなこと言われたって困るだけ。彼は優しいから何も言わなかった、普通なら断られてる。そう自分に言い聞かせて気持ちを切り替えて電車に乗ると彼がどこかボーッとしているようだった。ほんの少しだけど頬も赤いような
『…舘さん、』
「ん?」
『ちょっと顔赤いよ、大丈夫?』
「…え、ほんと?」
『うん、なんか暑そう』
「暑いっていうか…まあ疲れてるだけじゃないかな、大丈夫」
『…今日はありがと、ゆっくり寝てな』
「こちらこそ。良い夢見てね、じゃあまた」
丁度彼が降りる駅になって、その日は解散した
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《落ち着いて、聞いてください___》
「…え、?」