『スマホ、見せて?』
tg視点
so ちぐちん、ちょっとスマホ、貸して?
その声に、俺はびくっと肩を揺らした。
放課後の教室。誰もいなくて、静かな時間。
でも、しおたんのその声だけが、やけに耳に残った。
tg え? なんで……?
言いながら、ついスマホをポケットの奥に隠すみたいにしてしまう。
so ん、ちぐちんが誰と連絡してるか気になっただけ……ダメ?
しおたんは、笑っている。
でも、その笑顔が少し怖い。なんでだろう、心臓が変に鳴る。
tg べ、べつにダメじゃないけど……
so よかった
俺が出しかけたスマホを、しおたんはすっと取っていった。
反応する暇もなくて、ただ手のひらを空にして見送るだけだった。
しおたんはロックを解除して、画面をじっと見てた。
その指が滑るたびに、俺の息が詰まりそうになる。
――なんだろう、焦る気持ち。何か、変なことしたかな?
so ふぅん……
しばらく沈黙して、しおたんが俺にスマホを返してきた。
so 誰とも変なやり取りはしてないみたいで、安心した
tg しおたん、それ、束縛っぽいって思われるよ……?
俺は言った。ちょっとだけ反論してみたくて。
でも、しおたんは微笑んだままだった。
so そうだね。でも、ちぐちんは俺のものでしょ?
tg っな、なにそれ……
so だって、俺だけ見ててほしいもん
目をそらそうとしても、しおたんの瞳が離してくれなかった。
tg ……うん
俺の口から、気づいたらそう言葉が出てた。
しおたんの手が、俺の頭をやさしく撫でる。
その温もりが、だんだんと閉じ込められていくような感覚を与えてくる。
あったかいのに、逃げられない――そんな不安が胸を占めた。
しおたんが急に俺の顔を覗き込んだ。
その距離があまりにも近すぎて、思わず後ずさりしそうになったけど、しおたんは俺の肩を軽く押さえた。
so ちぐちん、怖がってる?
その声が、まるで僕を試すように響いた。
tg んっ
言葉に詰まる。怖いわけじゃない。でも、何か違う。
so 俺が、ちぐちんを守ってあげる。だから、ずっと俺だけ見ててくれるよね?
その言葉に、俺は何も言えなかった。否定できなかった。
しおたんの手が、再び俺の頭を撫でる。その優しさが、でも怖くてたまらない。
so ちぐちん……
しおたんが笑って、僕の髪をぐしゃっと掻き乱した。
そのまま、僕を引き寄せて、軽く唇に触れた。
tg あ、っ
その一瞬が、すごく長く感じて、どうしていいかわからなかった。
でも、しおたんは何事もなかったかのように、離れた。
s今日は帰さないからね
突然のその言葉に、僕は凍りついた。どうして?なんで?
tg え?
しおたんは少し楽しそうに笑った。
その目が、ますます冷たく見えた気がした。
so だって、ちぐちんは俺だけのものでしょ?だったら、帰すわけないじゃん
その言葉に、僕は何も言えなくなった。
心臓が早鐘のように鳴る。
――逃げられない。
――もう、俺はしおたんのものになっているんだ。
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コメント
2件
いやー、心音くんの束縛意外だけど最高👍