コメント
1件
どうも皆様、サカナです
ガノクルガノは良いぞ
ということで書きます
クルガノも好きですよ、でも今回に限ってはガノクル強めかなって…
⚠️全てが捏造です、若干の暴力的表現があります⚠️
「ハカセ!いい加減に寝てくだサイ!」
「あと…あと一徹だけ…」
「ソレは昨日も聞きマシタ!」
「ガーノルドお前、そろそろ寝ないと本気で死ぬぞ?」
「ここの回路だけやらせて…」
「今精密機械いじったら間違いなくミスが起きる」
「大丈夫大丈夫…」
「早く休んで!!」
クルーカー、ファンボット、Mr.ファンコンピューターから叱られながら、椅子から引き摺り下ろされたガーノルドがベッドまで引っ張られていく。
見慣れた日常、今日もまた繰り返されたこと。
一度集中すると止まらないガーノルドは、作業のために2日3日と徹夜するのは当たり前となってしまっている。
そんなガーノルドを寝かしつけるのは、いつもクルーカーたちだった。
「ったく、この機械オタクは…」
「マスターが言えたことではありまセンヨ」
「That’s right!」
「手厳しいなあ…」
そうやってケラケラ笑い合い、ガーノルドを寝かしつけた3人もまた休息を取る。
クルーカーはファンボットとファンコンピューターを充電するためにコンセントを差してやり、おやすみと言って2人の電源を切った。
「俺も寝るか…」
昼夜逆転してしまっているが、まだまだ若いのだからこんな一幕も良いだろう。
「おやすみ、ガーノルド」
「んん…」
致し方ないとはいえ、金属スーツにバイザーでは寝にくそうだなと思うクルーカーだった。
ガシャーーーンッッ!
次にガーノルドが目を覚ましたのは、ひどく乱暴に鳴らされたシンバルの音を聞いたからだ。
オワックスのクラッシュシンバルとは全く違う、聞き心地の悪い醜い音。
自身の相棒であるクルーカーが鳴らすわけがない、明らかな異常を知らせる音。
「相棒!!」
寝起きでぼんやりしていた頭がハッキリしてきた頃、初めに出た言葉はそれだった。
優しくかけられていた掛け布団を弾き飛ばすようにして、ガーノルドはすぐ近くにあるクルーカーのベッドを覗き見る。
できることならば、ベッドから落っこちただけだと言って欲しい。
ドジだなぁと2人で笑って、また機械作りの続きをするんだ。
そんな期待を裏切るかのように、ガーノルドの視界は紅白で色づいていた。
「アハハハハッ!!ほらクルーカー、相棒さんのお目覚めよ?よかったわね!」
「ウェンダ…!?な、なんでここに…」
「が、のるど…」
クルーカーのベッドにはポタポタと赤い斑点がついている。
どうやらシンバルを思い切り頭にぶつけられたらしい、脳震盪が起きているのか、手を震わせてこちらに助けを求めていた。
「相棒…!ウェンダお前!相棒に何しやがった!」
「そんなに怒らないで?か弱い女の子相手に怒鳴り散らすなんて、ひどいわ」
くすんくすんと態とらしい泣き真似をするウェンダに苛立ち、ガーノルドは付近に置いてあった工具片手にサイドテーブルと叩く。
「答えろ!相棒、今助けてやるからな!」
「あらやだ!保安官さんとおんなじこと言うのね!」
「は…?」
「ガーノルド…早く、にげ…」
「バカねえ、逃すわけないじゃないの!頭を強く叩きすぎたかしら?」
ぐちゅっ
「ぁ゛」
「相棒!!!テメェ…」
「きゃ〜こわ〜い!なんてね、アンタの弱点は悪食イエローから聞いてるわ」
殴りかかったガーノルドを避け、クルーカーの頭に突き刺したナイフをそのままに、ウェンダはガーノルドの背後へと回る。
「お前まさかっ…」
「ロック解除…っと!これでいいのよね?」
カチリ。
そんな軽い音が聞こえたかと思えば、ずっしりと金属製のスーツが重くのしかかってきた。
全身がぎゅうと締め付けられ、痛みが走る。
一歩も動けなくなって、その場で立ち尽くす。
「あは、バイザーがあったら見えにくいかしら?大事な相棒さんの死に様、とくとご覧なさい!」
「ぎッ…!」
クルーカーの頭から引き抜かれたナイフがバイザーを叩き割り、鋭い破片が右目に突き刺さった。
「ふふふ、放置して悪かったわね、クルーカー。じゃあ〜天才技術者の解体ショー始まり始まり〜!」
「ゃ、めろ…ッ…!」
今にも折れそうなくらいに強く首を締め付けられながらも、ガーノルドは掠れた声で静止を求める。
「んー、そうね。ナイフの通りも悪いし…」
額を勢いよく貫かれたクルーカーは既に虫の息に近い。
ウェンダは大人しくナイフを下げたが、ロックをかけ直さなければ自分は死ぬし、クルーカーも死んでしまう。
どうしようかと考えあぐねていたところに、ウェンダの元気な声が耳をつんざく。
「これ、借りるわね!」
「ぁ…?」
「ひゅッ…」
「持ちやすくて便利ね!解体ショーはこのノコギリでやるわ!」
ファンボットから指摘されていた通り、普段から片付けていればよかった。
そんな後悔がガーノルドの頭の中を埋め尽くした。
きっとクルーカーも同じことを思っている。
乱雑に置いていた工具箱の中から、ウェンダはノコギリを見つけてしまった。
きちんと倉庫にでもしまっていたら、ウェンダは諦めてくれたかもしれない。
「シンバル邪魔くさ…いらないわね」
放り投げられたシンバルが乾いた音を鳴らし、床に落ちる。
相棒だけでなく、相棒が大切にしていたシンバルまでも粗雑に扱うウェンダに対し、怒りと恐怖で頭がどうにかなりそうだ。
「さぁ、始めるわよ〜!」
それから先は、 地獄に違いなかった。
泣き叫ぶクルーカーの頭が、自分たちが愛用していたノコギリで切り開かれていく。
動けない自分はそれをただ見ているばかりで、歯が欠けてしまうほどに強く噛み、視界は霞む。
締め付けられる痛みは現実であることの何よりの証となり、夢であれ幻であれと何度祈っても無駄にしかならない。
神様なんて信じたことはなかったし、怪しい宗教に浸るジェヴィンとも合わなかった。
けれど、もう神頼みしかないのだ。
「アハハハハハ!!」
「ゅる、ざ…ぃ…」
「はー面白かった!さ、解体ショーはもうお終い。でもやっぱりシンバルがないとわかんないわね、もう頭の半分がないんだもんね!」
心底おかしそうに笑い転げ、ウェンダは自らが捨てたシンバルをクルーカーの頭に納める。
カラカラと鳴るシンバルが物悲しくて仕方ない。
ファンボットたちは無事なのだろうか。
ふとよぎったが、もうこんな状態では確認しに行けるわけがない。
狂気的な笑い声が響く。
狭い寝室から解体場へと変わったその場所で、ガーノルドはいよいよ意識を手放した。
「───、───!」
「─────!」
うるさい。
すごく、うるさい。
「──セ、ハカセ!!」
「おね─い、おき─…!」
「…ぁ?」
「ハカセ!!」
「…ファンボット…」
また、目が覚めた。
ファンボットがいる。
あぁそうか、あれは夢だったのか。
なんてひどい夢を見てしまったんだろう、早く続きの回路を組まないと。
「よかった…全部夢か…」
喉が渇いているのか、痛くて声が掠れる。
水を飲んで、早く相棒と作業をしなくては。
「よかった…ガーノルドくん、目が覚めたんだね…」
「…グレイ?なんで、ここに…?ここ、俺らの家…」
「…ガーノルドくん、起きたばっかりで混乱しているかもしれないけど…ここは、ジェヴィンさんの教会なんだ」
ファンボットばかりに目がいっていたが、どうやらグレイもいたようだ。
どうして右側がよく見えないのだろう、バイザーの画面が故障してしまったのかもしれない。
「…なんで、そんなところに?」
「…それは…」
「ウェンダさんたちがおかしくなったから、デス」
言い淀んでいたグレイに変わり、ファンボットはハッキリとそう答えた。
「ウェンダ…ウェンダといえば、俺変な夢見てさ…あいつに、クルーカーが殺されるんだ…それがほんとにひどくってさ?ノコギリで、クルーカーの頭を切るんだよ…怖いだろ?それで、俺もスーツに押しつぶされて…」
酒に酔ったときのようにぼやぼやと霞がかる頭を緩やかに動かし、怖い夢の内容を語る。
その途中で、どこからか現れた青に口を塞がれてしまった。
「思い出すのは、そこまでにしておきましょう。疲れているでしょうから、お休みください」
「?」
「ハカセ…その、マスターは…」
「空気の読めない無機物、その話は後にしてください。今の彼には刺激が強い」
「…ボクの名前はファンボットだと、何度も言っているデショウ。でも、わかりまシタ。ハカセとは、後で話しマス」
「…よくわかんないけど、俺が起きたら、家に帰してくれよ…クルーカーと、やらなきゃいけないことがあるから」
「…はい、わかりマシタ 」
笑って頷いたファンボットを撫でて、ガーノルドは眠りにつく。
また怖い夢を見ないか心配だったが、夢は夢であって、現実になりやしないのだから大丈夫だ。