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土曜日のお昼。
えとさんの部屋には、すでにいつものメンバーが勢ぞろいしていた。
の「なにこの部屋、かわいすぎなんだけど!女の子!って感じ〜!」
う「いやいや、さりげなく“ちょっと生活感ある女子の部屋”って感じがリアルで逆に刺さるんだけど」
え「どっちも褒めてるのか分かんないんだけど!?」
ゆ「俺、この棚に並んでる小物、さっきからずっと見てる」
ひ「整理されてるけど、ちょっとだけごちゃっとしてて…いいよね。落ち着く」
じゃ「女子の部屋ってこんな感じなのかーっていう勉強になるな…えとさん、今度模様替え手伝わせてよ」
え「なに?急にどうしたのじゃっぴ」
みんなが自然とえとさんの空間に溶け込んで、まるで前からここがたまり場だったみたいに、和気あいあいとくつろいでいた。
の「で、勉強会って言ってたけど、何をどこまでやるの?」
え「ちゃんと予定組んだよ!ほら、これ」
ホワイトボードに手書きのタイムテーブルを貼り出す。
え「午前は国語・英語、午後は数学・理科。もちろん途中におやつタイムあり!」
う「おー!いいねおやつタイムなかったら暴れてた」
ひ「…この“おやつタイム”って文字だけちょっとキラキラしてる」
ゆ「色ペンまで使ってるあたり、相当気合い入ってたんだな」
え「ち、違う!ちょっとだけテンション上がっちゃっただけ!」
じゃ「かわいすぎんだろ」
思わず全員がちょっと黙って、えとさんの照れた顔を見てしまう。
⸻
午前の勉強タイムは、意外と真面目に進んでいた。
じゃ「はい、ここ出るやつ。みんなノートにマーカー引いて〜」
の「先生〜、さっきからちょっとウザいです〜」
じゃ「そこがいいんじゃん、俺のキャラ的に」
ひ「えとさん、ここの英熟語、こっちの意味でも使えるよ。過去問に出てた」
え「ほんとだ…すごい、ひろくん記憶力良すぎない?」
ひ「えとの声が、覚えるときの音声再生されてるんだと思う」
え「え、それはちょっとどういう…」
ひ「内緒」
う「えとさーんこの漢字わかる〜?」
え「うり、絶対知ってるのに聞いてくるのズルい」
う「いや〜聞いてる時のえとさんの声、なんか好きなんだよね」
え「なにそれ!?」
ゆ「……じゃあ、俺も聞こうかな」
え「え、ゆあんくんまで!?」
みんな自然体だけど、それぞれにえとさんを見ている目はやさしくて、ちょっと特別な感じがあった。
⸻
午後になって、おやつタイム。
の「はい!女子チームから手作りブラウニーの差し入れ〜!」
え「のあさん、すごい…私も一緒に作ったけど、味見しかしてないよ」
の「えとさんの味見、信頼度高すぎだから〜!」
じゃ「……うめぇ」
う「マジでお店出せるって。これ。てか、えとの家に通いたくなる味」
ひ「ほんとに、えとさんのおかげでこういう時間ができたんだなって思う」
ゆ「…このメンバーで、また集まれたらいいね」
え「もうみんな大げさすぎっ!」
でも心のどこかで、ふと“ずっとこんな時間が続けばいいのに”って思ってる自分がいた。
⸻
日が傾いてきた頃、部屋には少し疲れた空気と、でもあたたかい笑い声が流れていた。
じゃ「なー、次集まるときは試験後の打ち上げしよーぜ」
の「いいねー!どっか行きたい!」
う「遊園地!遊園地でジェットコースター!」
ひ「えとさんは絶叫系、大丈夫?」
え「大丈夫って言ったら嘘になるかも、でも隣にいてくれたら、がんばれるかも」
ひ「うん。ずっと手、握ってる」
え「え……う、うん…?」
う「……やば、今の聞いて心拍跳ねたんだけど」
じゃ「ライバル増えてくなー」
ゆ「えとさん、絶叫無理なら俺、代わりに叫ぶよ!!」
の「それ一番いらないやつ〜!」
え「みんなもう!勉強会の話どこ行ったの!?」
笑い声が響くえとさんの部屋。
それは、ただの勉強会以上の、なんでもないけど大切な一日だった。