テラーノベル
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その日の夜。
元貴は、帰宅してからもずっとソワソワしていた。滉斗を避けてしまったという罪悪感と、自分の「好き」という気持ちがせめぎ合い、胸が苦しい。
ベッドに横になり、スマホを手に取った元貴は、涼ちゃんのLINEを開いた。
元貴:涼ちゃん…😭
元貴:今日、また滉斗さんのこと避けちゃいました🥲
元貴:会社出たところで会っちゃって、思わず走って逃げちゃった…
元貴:俺、最低です…滉斗さん、絶対俺のこと嫌いになったと思います
元貴:どうすれば、素直になれますか
メッセージを送り終えると、すぐに既読がついた。涼ちゃんからの返信を、元貴は固唾を飲んで待つ。アドバイスがほしい。どうすればこの状況を打開できるのか、涼ちゃんなら何かヒントをくれるかもしれない。
涼ちゃん:僕に任せて✨️
たった一言。絵文字付きの、涼ちゃんらしいシンプルな返信だった。
「…え?」
元貴は、その返信に目を丸くした。任せて? 何を? どういうことだろう。具体的にどうすればいいのか、何も書いていない。
むしろ、どこか自信満々にも見える絵文字に、元貴はますます困惑するばかりだ。
「涼ちゃん、何を考えてるんだ…?」
元貴は頭を悩ませたが、涼ちゃんの言う「任せて」が何を意味するのか、全く見当がつかない。しかし、涼ちゃんのいつもの天然さと、どこか掴みどころのない性格を考えると、深く考えても無駄だと結論付けた。
(ま、いっか…涼ちゃんのことだし…)
そう自分に言い聞かせ、元貴はスマホを置いた。
疲労と、混乱と、そして微かな期待を胸に抱いたまま、元貴はそのまま深い眠りに落ちた。明日会社で何が起こるのか、彼にはまだ知る由もない。
ryok side
翌日の火曜日。
業務を終えた僕は、元貴くんに話しかけに行こうと思い、営業二部のフロアへと向かった。
だが、元貴は既に帰ってしまったらしく、デスクには元貴くんの姿はない。
「すみません、元貴くんって帰りました?」
元貴の隣のデスクに座っている男性に声をかける。
「つい先程帰りましたよ」
彼に一つ礼を入れてから、残念ながらも戻ることにする。
元貴のデスクの隅に、彼がいつも使っている、少し年季の入った小さな手帳が置いてあった。
「……忘れてる?」
僕はその手帳を手に取り、少し急ぎ足で自分の部署へと戻る。
実は、昨日元貴くんに「僕に任せて✨️」とLINEをしたはいいものの、何も考えてなかったんだよね。どうしようかなぁ。
定時を過ぎ、社員たちが続々と帰り支度を始める時間になった。滉斗は、まだ少し残業していた。すると、涼ちゃんが滉斗のデスクにひょっこり顔を出した。
「若井、まだ帰んないの?」
「うん、もう少しだけ。元貴、もう帰った?」
滉斗がそう尋ねると、涼ちゃんはニヤリと意味深な笑みを浮かべた。
「うん! 今さっき、会社出たとこだって。」
その言葉に、滉斗はハッとしたように顔を上げた。
涼ちゃんは、手に持っていた元貴の手帳を滉斗に差し出した。
「これ、元貴くんの忘れ物だよ。さっきデスクに置いてあったの。急いでたのかな?」
「手帳…?」
滉斗は、それを受け取ると、元貴がいつも大事そうに持ち歩いているのを知っていたから、焦るように中身を確認しようとした。
「若井、届けに行ってあげたら? 元貴くん、これないと困るんじゃないかな?」
涼ちゃんは無邪気にそう言って、滉斗の背中を押した。滉斗は、迷うことなく立ち上がった。
「分かった! 届けに行ってくる!」
滉斗は手帳を握りしめ、営業二部のフロアを駆け抜けた。エレベーターに乗り込み、一階へと急いだ。
何も考えてないりょうちゃん………恋のキューピットになります
コメント
6件
さすがりょつ!可愛い!最高!つまり大好き!
ryoちゃんらしすぎて可愛すぎます…🥹✨ 恋のキューピットだなんて… ryoちゃんに似合いすぎてます👼🏻 めちゃめちゃ好きです…💗 次回も楽しみにしてます!!
「任せて」って言ったのに、何にも考えてないの涼ちゃんすぎるwwかわいいwwwwww