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9.
付き合って9ヶ月足らずで、俺たちのことが妻に知られる
ところとなる。
妻の香織は自分の住む家に今まで一度も来たことが
なかったことと、自分を訪ねるならあらかじめ”行きます”
という連絡を怠らない几帳面な性格であることを知って
いたため、啓吾は油断してしまった。
「啓吾さん、今の女性は……」
「香織だ。何でここに妻がいたのか……」
「奥さん?」
ここのところ、碌に我が家に帰っていなかったので、本当に久し振りに
見る妻の香織だった。
あんなに青褪めて悲しげな顔をした妻は、初めて見た。
俺と視線のあった香織が、すぐさまこちらに向かって走り出したので
『あぁ、何で女性と手を繋いでるの? どういうことなの?』 と、問い詰められる
のだと思っていたら、妻はさっと俺たちの横をすり抜けて行ってしまった。
気がつくと俺は
「あっ……カ・オ・リ……」と、
声にならない声で香織の名を紡いでいた。
追いかけても行かず、言い訳さえもしない俺は、冷たい男だな。
「貴理、この機会に妻に離婚をお願いしてこようと思う。
これからすぐに香織の後を追うよ」
「うん、分かった。
じゃぁこれからの予定は取りやめね。
こっちに帰る時は、向こうから一度連絡ください。
待ってます」
「あぁ、そうする」
貴理と言葉を交わしてすぐに香織を追って、俺は郷里へと
向かった。