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テラーノベル(Teller Novel)
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いつも通り駄作です。短いです。

合言葉は「作者のせい」

若干高ゲタ?ゲタ高?入ってます。


マアうるさい注意喚起は程々に。

短い本編へどうぞ。





「っ、ぇほ」


覚束無い足でなんとか目的地へと辿り着く。しとしとと降る雨に髪も身体もぐっしょりと濡れた。重くなる身体にうんざりしながら、後輩の家へと上がる。


「げ、ゲタ吉さんっ?!どうしたんですか、それ!」


どうやらいつものようにぐーたらしていたらしく、すぐに起き上がってバタバタと走りよってきて、びしょ濡れのぼくを寝床に寝かせる。いいのかよ、これ。高山くんの寝床も濡れちゃうぜ?…そんなことを考えつつも、抵抗する気も、抵抗する力もなくて、されるがままだ。


「毒…ただの毒だヨ。これぐらい、なんてこたぁないさ。」


左腕の丁度真ん中あたりに空いた小さな穴と、そこから漏れ出た毒々しい如何にもな色をした液体と血を心配してのことだろうが、僕も多少の毒には耐性がある。これぐらいは本当にどうってことないはずさ。


「…とうさん、この毒、どんなものか分かりますか」


…まったく、心配性だなあ。ぼくが少しでも怪我をしてくるといっつもこうやって誰かの力を借りてでも僕の怪我を治そうとする。それだけ自分がこいつにとってのトクベツだってことがわかるのはいいんだけど、…出来ることならその労力を君のために、君自身のために使って欲しいと思うのは…烏滸がましいことなのだろうか。


「ふうむ、…こりゃ恐らく麻痺毒の類いじゃな。」


高山くんの手を借りてぼくの左腕に降り立ち、一瞬悩んだ後、ぺろりと毒を舐める高山くんのお父さん。「微妙な感覚しか分からん、真面にも歩けんかもな。」と真剣にそういう高山くんのお父さんに、余計なことを…と思うが、父を卓上の空茶碗の中に戻した高山くんが、悲痛そうに顔を歪めてこちらを見やった。


「なにが”なんてことない”、だ。問題大有じゃないか…!」


但しそれは哀れみではなく、ぼくが身代わりになれれば、ぼくがその場にいれば、というなんとも高山くんらしい自責の念からだ。


「気にしないで。そんな顔させるために、っ会いに来たんじゃない。」


寧ろこの傷とはほぼ無関係なことで会いに来た。先の土砂降りからも想像付くと思うけど、風邪を引いた。どうやらこの毒、麻痺させるついでに免疫も崩すらしく、…普段なら絶対にひかないのに。


「な、ん、っ」


感覚の麻痺で痛みも分からない。もしかしたら床が血で汚れているかもしれない。そんな状態で、左腕に体重をかけて起き上がり、高山くんの顔に右手を添えた。刹那のこと。生憎なにも感覚はしないが、自分でやったからわかる。口元を片手で抑えて顔を真っ赤にさせる高山くんに軽く笑う。


「感覚はどれくらいあるんですか?」

「…実を言うと、歩いた感覚も、しないくらいにはなくなってる。」

「やばいじゃないですか。そんな状態でよくここまで…」

「はは、君のとこは色んな妖怪がいるだろ?治してくれると思って、サ」

「…尽力、します。……それと。風邪、ひいてるでしょ。」

「…流石。本人ですらあんまり分からないのに、よく気付くネ」

「先輩の、ことですから。」


次いで高山くんが父さん、と声をかける。それに反応した父親に、僕のことを見ててくれ、と頼む。そこまでしてくれなくっていいのに。若干それに不貞腐れるが、焦った表情で外へ駆けていく高山くんを見て、微笑んだ。


「…自分のことには疎いのに、どうして人のこととなると、ああも聡いんだか。まったく、”鬼太郎”ってやつは。」


なんとか壁に背を預けながら、誰に言うでもなく呆れ返る。それが自分にも適用することには、目を瞑って。


「……お主が、”そう”だからじゃろうな。後輩は先輩の真似をしたがるもんなんじゃないのか?」


ぽつり呟かれたそれに、「嫌なところが似てしまったネ」と笑って返して、妖怪横丁で俺のために奔走する後輩を思って、眠りについた。

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