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「…どれだ?これ。」
まふゆっちが来て今日で丁度1週間が経つ。
で、今日は一緒に買い物をしているわけだが…。
「具材とか知らねぇよ…。」
俺はそう呟いてメモを睨んだ。
まふゆっちはというと、ここに来てからずっとエマと俺がオーバーサイズだった服を着せているので、エマと一緒に服を見に行っている。
「あ、いたいた!マイキー!」
「マイキーさん、まだそこに…。」
エマはこいつ女心も分かんないやつだからね、と少し笑いながらまふゆっちに言うと、俺からメモをひったくった。
「さすがにマイキーが買い物してたら日が暮れそうだからバイクの機材でも見てきな~♪」
「は!?エマ、お前!」
俺がエマに何か言う間も無く、エマはまふゆっちの手を引いて行ってしまった。
…あいつは本当に嵐だ。
俺は後ろを向いて、少し視線を感じた奴に当たりに行った。
恐らくエマとまふゆっちをつけていたんだろう。
…心が躍り、腕が鳴る。
「いっちょ暴れますか~!」
俺はそこに一直線に走った。
:まふゆ視点:
「よし!この位かな!」
エマさんはそう言ってメモを折りたたんでポケットに入れた。
どこかで叫び声が聞こえるが…気にしたら負けなのだろう。
エマさんは「だし、だし~♪」と歌ってスキップしながら別の売り場に移る。
私はその後を追ったが、エマさんは突然立ち止まると、「あ!そうそう」と私の方を振り返って聞いてきた。
「まふゆちゃんさ、あんまり私の料理美味しくなかったり…しちゃう?」
あまりに唐突過ぎる質問に私が固まっていると、「あ、違うの!怪しんでるわけじゃなくて!」と言って少し心配そうに聞いてきた。
「何か料理食べてるとき毎回同じ反応するから、好きじゃないのかな~、なんて思っちゃったりして。」
私は咄嗟に「そんなことない」と言おうとしたが、声がうまく出ない。
言おうとしたら、心がきゅっと締め付けられる。
私はその場に固まって、涙を流すことしかできなかった。
エマさんは少し何も言わないでいると、何かを思い出したように私に言った。
「そういえば、マイキーが言ってたんだけど、無理はするなよ、だって。その後にたい焼き欲しいが無ければ完璧だったのに。」
エマさんはいたずらっぽく笑うと、「行こっか!」と言って私の手を引いた。
エマさんの手は暖かくて、それでいて寂しかった。
「あ、あともう一つ。」
エマさんは立ち止まって私の方を振り向いて言った。
「家族なんだから、”マイキー”と”エマ”ね!私的にはエマ”ちゃん”がいいかな!」
家族…。
なぜか、心が変な感じだ。
ニーゴのみんなといるときとは違う、心が浮遊しているような感覚。
「…うん。エマちゃん。」
私はそう言って少し笑うと、エマちゃんと手を繋いでだし売り場まで歩いた。