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~同時刻・場地家~
:場地視点:
「奏ちゃ~ん!圭介~!ご飯だよ~!」
オフクロの俺らを呼ぶ声が聞こえてくる。
俺は寝そべっていた体を上げて、「今行く~!」と答えた。
部屋を出て、向かいのドアを開ける。
閉め切ったカーテン、薄暗い部屋、散らばる五線譜と文字の羅列の紙。
そして、その先にいる色素の薄い少女。
彼女こそが、俺らで今預かっている、宵崎奏という少女だった。
「奏、メシだって。」
俺がそう言うと、奏は立ち上がってこちらを振り向き、小さな声で「わかった」と答えた。
奏がここに来て一週間。
始めは声は小さいわ部屋に籠るわメシは食わねぇわで大変だったが今はもう慣れた。
歳は奏の方が上らしく、オフクロが「お姉ちゃんができたね」と俺を軽く鼻で笑っていた。
「…今日のご飯は?」
「知らね。」
俺らがそんな会話をしながら食卓の準備を済ませると、オフクロが俺ら分のシチューを注ぎながら言った。
「奏ちゃん、ここの生活にはもう慣れた?」
奏は少しビクッとしたが、すぐに「はい、まあ。」と俯きがちに答えた。
「そう?ならよかった!」
そう言ってオフクロは奏にシチューを手渡した。
「オフクロ、すまねぇな、今日も。」
俺はなんか奏とオフクロのやり取りを見ていると少し申し訳なくなったので小声でそう伝えた。
オフクロはそれを聞いてくすっと笑うと、俺の顔を見てにやにやしながら言った。
「やっぱ、二人とも似てんね。血は繋がってないし、なんなら奏ちゃんは預かってるだけだけど。」
「「似て ねぇし!/ません!」」
奏と声が被り、お互いがお互いの顔を見る。
なんだかおかしくなり、俺らはその場で吹き出した。
オフクロもいたずらっぽくしししと笑う。
…こんな日が続けばいいのに、とふと心の中で思った。
しかし、そんなことは今は忘れよう、と俺は思い直し、シチューを受け取った。
…八月中旬、一虎が出所するちょっと前の事だった。
~まふゆ視点~
今日、この日に、私たちは無茶をそれぞれの預かってくれている人たちに言って、25時に集まった。
ナイトコードが使えないから、対面だが。
そして、集まる場所は、全員の都合の良い「武蔵神社」。
そこに私たちを集めたのは、ミクだった。
「どうしたの、ミク。」
ミクはそれに答える形で私たちに言う。
「どうやって、元の世界に戻ろうか…。」
全員が「忘れてた」と言わんばかりに見あう。
「確かに、セカイに入ろうって思っても、携帯はあるけどセカイに入れないし…。」
瑞希がそう言ってむむむと考え込む。
「時を待つ、だといつになるか分かんないしね…。」と絵名。
「確かに戻りたいけど、無理に戻る必要もない気がする…。」と奏。
私も、別に無理に戻る必要はないと感じていた。
別に、勉強もできるし、何ならこっちの方が少し健康的な気がする。
あんまり遅くまで起きて勉強やってるとエマちゃんに「体壊すよ~…。」と次の朝心配されるし、朝は強制マイキーアラーム(ドラケンさんの大声)があるから別に寝過ぎない。
…寝過ぎることに関しては関係ないか。
勉強も特に不自由なく行えている。参考書とかを万作さんに買ってもらえる(少し気は退ける)ため、追いつけない心配はなさそうだ。
…勉強熱心なイメージは定着してしまったが。
「ただ、問題は、奏は良いんだけどボク達の登校日数と、ニーゴとしての活動だよね…。ずっと止まってるし。」
瑞希がそう言うと、全員がそうなんだよな~…。と考え込んだ。
「…ま!見つけた時に各自報告で!」
絵名がそう言うと、全員が了承の意を見せた。
「お前ら、もうそろそろ帰るぞ。」
マイキーがそう言って階段を下っていく。
私たちも、その後に続いた。