ピピピピッ
またアラームで起きる
これからはいつも通りだ。
今日も曲を書く。
いつのまにか夕方だ。
外から小学生の声がする。
ピーンポーン
元貴「若井か?」
「お邪魔しまーす」
ちがう、声が高い。
母が家に入れたのだろうか、階段を上がってくる音がする
ガチャ
ゆい「元貴!」
小川さんだった
元貴「小川さん…?」
ゆい「あ、プリント届けにきた!先生に頼まれてさ、」
元貴「そう…なんだ」
ゆい「ところで何やってんのー?学校来なかったし」
元貴「別に…」
そういいながら小川さんは僕の部屋を歩き回る。
そして、目を引かれたように止まった。
ゆい「これ、ゲーム?」
元貴「うん、そうですけど…」
ゆい「ゲームとかするの?」
元貴「まぁ、たまに…」
ゆい「えぇ〜!じゃあ今度一緒にやんない?」
断りたい。でも、断る勇気なんてなくて
元貴「…うん。いいですよ」
ゆい「じゃあさ、ライン交換しよ!」
ピコンッ
ゆい「じゃあ、また連絡するね!ばいばい!」
小川さん…
どうしてだろう
なんで僕に?
わからない…
翌日
朝になった。
また、いつも通りの日だ。
ピーンポーン
若井が来た
でも今日も行かないし、別にいいや
ゆい「元貴〜!」
若井「元貴〜!」
小川さんが居る
そう思うと、なんだか、今日は学校に行ってみようと思った気がする
元貴「…今行く」
そう返事をしてしまった。
元貴「おはよ」
若井「元貴!めずらしいね」
元貴「別に」
ゆい「元貴!お〜はよ!」
元貴「おはようございます」
ゆい「私にだけ敬語とかやめてよね!」
元貴「分かった、」
ゆい「おはよ〜」
小川さんの挨拶にみんなが反応する。
これが人気者なんだな。
ゆい「元貴!今日さ、一緒にゲームしない?」
元貴「いいよ」
授業が始まる
まぁ、1年の時から行っていないのだから、先生に当てられることもない。
ふと
横を見た
頑張ってノートをとる小川さん
窓側の席だからか、風で髪が揺れている
ゆい「元貴〜!お昼食べよ〜!」
元貴「うん、」
若井「ねね、俺も入れて〜」
ゆい「え〜、若井くんがいると他の女子に睨まれちゃうしな〜笑」
若井「お願い!」
ゆい「いいだろう笑」
僕とは違う次元にいるな。
でも、2人は僕に話しかける
それが少しでも嬉しいと、思ってしまう
ゆい「あ、若井くん!」
若井「滉斗でいいよ」
ゆい「あ、じゃあ滉斗」
若井「なに?」
ゆい「放課後さ、元貴と2人でゲームするんだけど、滉斗もやる?」
若井「やる!」
ゆい「元貴、いい?」
元貴「いいよ」
若井「やった〜」
ゆい「私の家くる?」
若井「いいの?」
ゆい「もちろん」
元貴「僕の意見は…?」
ゆい「大丈夫!笑、後から聞くつもりだったし笑」
元貴「…んふっ笑」
久しぶりに笑った気がする
楽しいな
ピーンポーン
小川さんの家に行く
若井も一緒に
ゆい「は〜い!」
元貴「お邪魔します」
若井「お邪魔しまーす」
ゆい「じゃあ、ゲームしよ!」
若井「わぁぁぁぁぁ!ちょ、ちょいタンマ!ねぇ!いやぁぁぁぁ!」
元貴「よっしゃ!勝った〜」
ゆい「元貴強すぎない?笑」
元貴「小川さんもけっこうだけどね 」
ゆい「ゆいって呼んでよ〜」
元貴「ゆ、ゆい?」
ゆい「そうそう!そっちの方が落ち着く」
こんなに名前を呼ぶのに緊張したことはない
ゆい「ちょっと待ってぇ〜!無理無理無理!いやだぁぁぁ!」
元貴「うわっ!あぁぁぁぁ!」
若井「勝った〜!」
ゆい「ねぇ!さっき私のこと落としたよねぇ!?」
元貴「ごめんごめん笑」
… 時間が過ぎるのが早い。
さっきみんなとは別れて、家に帰る。
僕は、明日からは学校に行こうと思う
学校に行く。
ゆいとも、若井とも仲良くなった
クラスにはまだ慣れないけど
2人がいればいい
まだ、僕の中では雨が降ってるから。
迎えに来てくれた君は、まだ傘に入れてくれただけだから。
これから少しずつ、歩いていく。
雨の降らないところを求めて
〈比喩表現〉
・雨の降らないところ⇒いやなことも忘れられるような明るい場所のこと