コメント
2件
最高です っ 、 !
「、ん……」
ふと、目が覚めた。
時刻はわからないが、部屋が真っ暗だから多分まだ夜中。
……あれ?
はやとが、いない。
くっついて眠ったはずのはやとがいない。
「はやと、?」
名前を呼んでも当然帰ってこない。
その瞬間、今この場所にはやとがいないということが、暗闇に自分がひとりなんだということが、得体の知れぬ恐怖となって襲いかかる。
「っ、あ、ぇ」
闇が胸を飲み込むように足先から全身にゾワっとした感覚が広がって、息がしづらくなる。
一気にこの暗闇が大きな敵になったかのような肩身の狭さが気持ち悪い。
軽い暗所恐怖症のようなものを発症したのだろう。
部屋の明かりを点ければ少しは収まる、そんなことはわかっているのに、ただ蹲って震えることしかできない。
つらい。くるしい。くるしいよ、はやちゃん。
声が上手く出せなくて、何度もはやとを呼ぶ言葉は瞳から溢れた。
そんなとき。
────ガチャッ
「……え、じんちゃん、?」
扉を開けたはやとが部屋に入ってきた。
はやとだ、はやちゃん、どこいってたの、ねえ、こわかったよ、
やっぱりひとつも言葉は出ないけど、縋るようにベットの上を這う。
「じんちゃん起きてたの?!ごめん、」
そう言いながらはやとは俺を抱きしめてくれて、そこでやっと安心できたことで途端に身体は弛緩した。
「ッ、ひ、はやちゃ、はやちゃん、どこっ」
「ごめんじんちゃん。ほんとにごめん。」
はやとの温かい手の平が背中を摩ってくれる。
「ごめんね、じんちゃんがすぐ不安になるの知ってたのに……。」
耳元で聴こえる声が、少しむず痒い。
「っゃ、俺こそ、ごめん。ッ」
「なぁんでじんちゃんが謝るの、じんちゃんは寝てただけでしょ?」
「だって俺がッ、俺がめんどくさいから、」
「そんなこと言わないでっ!いーの、俺はいまのじんちゃんがすきなんだから。めんどくさいのもバカ真面目なのもかっこいいとこもかわいいとこ も、ぜーーんぶ含めてじんちゃんなんだよ。?」
今度は両頬を包んで、しっかりと目を合わせて伝えてくれる。
その目が、涙の跡を撫でる親指の温もりが、今の言葉は嘘じゃないと語っていて、ああ、俺もいまのはやとがすきなんだ、と思う。
身体が離れちゃったのはさびしいけどなあ。
だから、
「ッッえぇ?!!!」
俺から抱き締めた。
「んっはは、声でか、」
「いや、声でかいってね、そりゃ、……そりゃ声もでかくなりますよ!いつぶり?あなたからデレたの」
「っへへ、、…ねぇ、もう」
────ひとりにしないで。