テラーノベル
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瞬はとても顔の整った好青年だった。
優佳「よろしく。 もしかして貴方が転入生?」
瞬「そうだよ」
火事の一件があってからすっかり忘れていたが聞いたことの無い名前なのですぐに思い出した。
瞬「君は何故ここに?」
優佳「私は……」
瞬「当てよっか、飛び降りようとしてたんでしょ」
優佳「………。」
その通り私は屋上から飛び降りる為にここへ来た。
早く家族に会いたいから。
(だから…邪魔しないで)
瞬「辛かったよね…でも死ぬなら放課後にしない?」
優佳「なんで?」
瞬「どうせ死ぬんなら綺麗なものを見ながら死にたくない?例えば夕日とか。
僕感動したんだ、ここで初めて見た夕日に」
優佳「ふっ、確かに最期は綺麗な夕日を見ながら逝きたいな」
瞬「じゃあ一緒に教室へ戻ろうよ」
教室に戻り放課後を待つ。
瞬とは席が近く常に女子が周りにいた。
(あの顔立ちなら当然モテるよなあ)
そして、放課後がやってきた。
優佳「翔子、今日はひとりで帰る。それと今までありがとう、私もう一人でも大丈夫だから」
翔子「どうしたの急に?」
優佳「いや、翔子には沢山心配掛けたなあって思ってさ」
翔子への最後の挨拶を済ませ屋上へ向かう。
扉を開けると瞬がいた。
瞬「やあ、待ってたよ」
優佳「なんで貴方がここにいるの」
瞬「君の最期を見届けに来たんだ。でもその前にちょっと話さない?」
私達は地べたに座り込んで夕日を眺める。
瞬「実はね、僕も事故で家族を亡くしてるんだ」
優佳「そうなんだ…」
瞬「飲酒運転してた車に轢かれたんだけど僕は家族の後ろを歩いてて、幸い命は助かったけど家族は即死だった」
(前にニュースでやってたやつだ)
瞬は悲しそうな眼差しで語ってくれた。
瞬「僕も君みたいに最初は死のうとしてたよ。けど思い出したんだ。車に乗ってたのは四人、けどニュースに出されたのは三人。あとの一人がいない事に気づいてね。
僕はそいつに復讐するまで死ねない」
優佳「復讐…」
瞬「君は火事の件、事故だと思う?」
優佳「何が言いたいの?」
まるで他殺だと言わんばかりの質問。
目覚めてからテレビを見る気になれずニュースも見てないので火事の詳細は知らない。
瞬「知ってる?あの火事ニュースになってるんだよ。その様子だと見てないだね」
そういうと瞬はスマホを取り出しニュースを見せてくれた。
火事の原因は不明とのこと。
しかし、警察の調べによると玄関先に燃えきれなかった新聞紙のクズが発見されたという。
警察は事件として調査を進めている。
優佳「………。」
言葉が出てこない。出てくるのは涙だけ。
もう全部出し切ったと思ったのにボロボロと零れてくる。
瞬「きっと皆は君の為に言わなかったと思うんだ」
気持ちが落ち着くまで瞬は隣に居てくれた。
私は瞬に事件が起きた時のことを話した。
優佳「私…ずっと恨まれてると思ってた。火事が起きてから毎晩家族の夢を見るんだ 」
瞬「どんな夢?」
優佳「火の中で家族が助けを求めて私に縋り付くの。私は手を引かれてそのまま火の中に…そこで毎回目が覚めるんだ」
瞬「その目の隈もそれが原因で? 」
優佳「うん」
なんだか死ぬ気にならなくて辞めようと思った。
それと同時に家族を殺した犯人に復讐心が芽生えはじめていた。
(絶対に見つけ出して必ず復讐してやる…)
優佳「ねえ、貴方の復讐に私も協力していいかな」
瞬「僕も誘おうと思ってたんだ。君に協力するよ」
私達はお互いの復讐に協力すると誓った。
その日から私の生きる理由は家族の仇を打つこと。
それまで絶対に死ねない。
翌日からいつも通り登校するようにした。
登校中後ろから足音が聞こえ振り返ると翔子が息を切らしながら走ってきた。
翔子「はぁ…はぁ…良かった…」
優佳「どうしたの?!」
翔子「いや…ちょっと心配になって。だってあんな事があっていきなり『今までありがとう』なんて言われたら誰でも心配するでしょ!」
優佳「それは…」
翔子「何か…何か思い詰めてるんなら相談ぐらいしてよ!!何の為の親友だと思ってんの!?それとも私じゃ頼りない?」
私は親友に何の相談も無しに死のうとしてた事をとても後悔した。
優佳「翔子…ごめん!!私あの時本当は死のうとしてたの!でも、翔子には心配掛けたくなくて黙ってた…」
翔子「これからはちゃんと相談しなさいよね……あと、いきなり消えたりしないで…私はずっと優佳の親友で味方だから」
朝から二人で抱き合って号泣した。
おかげで遅刻してしまって二人仲良く怒られた。
翔子にも相談した結果協力すると言ってくれた。
(翔子の親は警察官、何か情報を聞き出せるかもしれない)
私達はその日から一緒に行動する様になり、放課後になるとそれぞれの家に集まって情報収集をする事にした。
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