テラーノベル
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卒業を祝うかのように舞い落ちた桜が道を作る。薄いピンクは踏んでしまうのが惜しいぐらいに儚く、淡麗だった。
そう、まるで貴方のように。
🥂「orさん!」
春なのに向日葵のような貴方の温かい笑顔が溢れる。
嗚呼、追いつかれてしまった。不可能なのに、また、手に入れたくなってしまう。
🧣「どうしたのpt?」
失うのが怖くて、逃げて、目を逸らし続けたのに。そんな臆病者な自分には到底見合わない相手だというのに。
🥂「よかった、orさん卒業式終わったらすぐいなくなってたんですもん」
🥂「一緒に帰りましょ?」
🧣「…うん!」
まただ、貴方には敵わない。
・・・
カンカンカン!
号令の鐘が鳴る。チャイムより聞き慣れてしまった音が、刑務所の中という現実を突きつけてくる。
昨日も、一昨日も見た夢。きっと明日も同じ夢を見る。
看守「おい106番!また寝坊か、そろそろ懲罰房行きだぞ!」
飯が1日1食になるのは御免なのでしぶしぶ独房から出ていく。
看守「点呼ォ!!」
100!
モブ「はい!」
102!
モブ「はい!」
…
看守「106!」
🧣「…はい」
看守「声が小さい!もう一度!」
🧣「はい!」
看守「107!」
ここには植物どころか、青天井さえない。あるのは野郎の喧騒と石造りの壁だけ。
嫌になっても抜け出せない。
看守「点呼終わり!全員部屋に戻れ!」
看守「おい、106番。お前に移動命令が下された。手を出せ。」
🧣「俺ですか?」
反抗しても良いことはないので、大人しく手錠をつけてもらう。
移動した先は共同房。人間関係の更生を求められる囚人が多く集まる部屋だ。
看守「お前はこれから今日入ってくる新人と同じ部屋で過ごしてもらう。決して、暴力・暴言を振るわないように!」
🧣「…了解です」
テンプレートになった言葉を繰り返す。看守の発言なんか建前。この刑務所では殺人事件だって少なく無いというのに、その多くが見過ごされている。
ギィ…
重い金属製の扉を開けてさっさと挨拶を済ませる…はずだった。
🧣「…こんにちは」
🥂「こんにちは!」
🥂「自分ptって言います!今日からよろしくお願いしますね!」
🧣「…は?」
卒業式以来の再会。こんな最低な場所で。
何故貴方がここに?
苔むした床が酷く似合わない。牡丹のような白くてフワフワした髪、右耳につけた3つのピアス、あの頃のまんま。
唯一違うのは澄み切っていたはずの瞳。
そこには、何も映さない濁った青があるだけだった。
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