「ふあぁ〜…良く寝た…」
洗面台で顔を洗うとテーブルに座り、朝食をとりつつネットニュースを見る。
巷で噂のギャンブラー椎名 弘人、借金取りに追われ一悶着!警察出動も本人は見当たらず。相変わらずの逃げ足の速さ
「椎名 弘人ねぇ…確かに最近話題になってるなぁ…」
椎名 弘人(シイナ ヒロト)。あちこちのカジノや競馬場など賭け事をする場所に現れて大当たりしたりかと思えば豪遊して破産し、借金取りに追われているという慌ただしい生活を送っているちょっとした有名人。逃げ足が速く、ズル賢い為、借金取りや騒ぎに駆けつけた警察も捕まえられない。
「まぁいいや早く出勤しよ」
身支度を整えた灰原はバイクに乗り、しばらくするとOREジャーナルに着く。
「おはようございます」
「おうおはよう。なぁ灰原、今朝のニュース見たか?」
「今朝のニュース?椎名 弘人って人のですか?」
「いや、それじゃなくてな」
大久保編集長は手招きして灰原に朝刊を渡す。
「テレビでもやってたやつな」
「ふむ…都内のスーパーでまたしても目撃者なき失踪…男性行方不明…?」
「ここんところ多いんだよな…」
「あれっこのスーパー昨日買い物に行ったな…」
「マジかよ?!お前何か見てないのか?!」
「何か見たって…鏡の中にしか居ないでっかい蜘蛛の化け物が男の人鏡に引きずり込んで食べちゃったんですよ!」
灰原の発言に大久保編集長は哀れみの目を向ける。
「え?どうしたんですか編集長そんな変な顔して…」
「灰原…お前疲れてんだよ…しっかり休め…?仕事多いなら言えば減らしてやるからさぁ…」
「その仕事は私に来るんですよね?」
令子が嫌そうな視線を編集長に向ける。視線を向けられた編集長は頭を掻きながら呟いた。
「いや…まぁ…否定はしないけど…」
「本当なんだけどなぁ…」
灰原は信じてもらえない事に首を傾げた。
「編集長」
突然編集長を呼んだ声の主はOREジャーナルのシステムエンジニア、島田 菜々子(シマダ ナナコ)だ。
「おーどうした?」
「また失踪事件です。」
「おっしゃ!灰原、行ってこい!」
「あ、はい!」
灰原は飛び出してすぐに現場に向かった。
「令子、お前も行ってやってくれ」
「…しょうがないですね。分かりました。」
ため息混じりに答えると支度を済ませ、灰原を追いかけた。
「ここが現場ねぇ…ってカジノじゃん!」
警察に事情聴取を受けている人を見やるとそこには見覚えのある男が居た。
「あれって…椎名 弘人?!」
「ん?誰アンタ?」
to be continued
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