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翌朝、オールは眠れぬまま窓の外を見ていた。 夜の影がまだ残る薄明かりの中、胸の奥にある感情が、抑えきれない熱になって膨らんでいく。
父である自分が、息子に向けて抱いてしまったこの感情──それはもう父親としての愛ではない。
血の繋がりや社会的な枠組みを超えた、「男同士の愛」だった。
夜、モストが自分の部屋をノックした。
「父さん、話がある」
その声に、オールの胸が締め付けられる。
ドアの向こうで、モストは静かに息を整える。
やがてドアが開き、黒いマフラーを外した顔が覗いた。
その視線に、オールは背筋が凍るような感覚を覚えた。
「……俺は、父さんの息子じゃない。父さんの……男でありたい」
モストの言葉は、夜の静寂を切り裂いた。
オールはその場に凍りつく。声にならない声が喉に詰まる。
「……俺もだ」
低く、震えるように言葉を返す。
それは長年抑えてきた本音。父と息子という枠を越える決意表明だった。
二人は無言で互いに近づき、やがて互いの距離は消えた。
触れ合った瞬間、初めて二人は「家族」ではなく「二人の男」として息を合わせた。