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あ
16
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次の日の昼休み。昨日、大和の家であんなに屈辱的な目に遭わされたというのに、奴らの支配は学校にまで及んでいた。
スマホに届いた蓮からの『昼休み、旧校舎の空き教室に来い。来ないとどうなるか分かってるな』という短いメッセージ。
俺は制服の襟元をきっちり締め、首元のチョーカーを隠しながら、重い足取りで誰も来ない空き教室のドアを開けた。
中には、当然のように蓮、拓海、大和、陸の4人が待っていた。
「お、来た来た。遅いよ、いるま。待ちくたびれちゃったじゃん」
陸が机の上に座りながら、ひらひらと手を振る。
昨日、散々おもちゃにされてボロボロにされた怒りと、なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだという理不尽さへの悔しさが、ついに俺の中で限界を迎えた。俺は拳を強く握り締め、4人を激しく睨みつけた。
「……いい加減にしろよ。なんで俺が、お前らにこんなことやんなきゃいけねぇんだよ……!」
いつもシクフォニを引っ張るリーダー格としての、俺の最後のプライド。
声を荒らげる俺を見て、4人は怯むどころか、可笑しくてたまらないといった様子でクスクスと笑い始めた。
大和が歩み寄り、俺の肩を優しく、だけど拒絶を許さない力で抱きすくめる。
「なんでって……そんなの決まってるじゃん。俺たちがいるまのこと、めちゃくちゃ気に入っちゃったからだよ」
「お前が必死に耐えてる顔、マジでゾクゾクするんだよね」
拓海も隣で、獲物をいたぶるような笑みを浮かべた。
俺が「ふざけんな……!」と大和の手を振り払おうとした、その時。
奥の教卓に寄りかかっていた一軍のリーダー、蓮が、冷え切った瞳で俺を真っ直ぐに見据えた。
「てかさ、いるま。そんな大声出して、シクフォニのこと、いいの?」
蓮のその一言で、俺の身体は凍りついたように動かなくなった。
「俺の親にお願いして、学校に圧力かけてやってもらうよ? あいつらをこの学校から追い出すなんて、うちの親父の一言でどうにでもなるんだわ。……あいつらの未来、お前のそのくだらない反抗のせいで、全部台無しになってもいいんだ?」
「……っ」
喉の奥がヒリヒリと痛む。
シクフォニのメンバーの顔が、楽しそうに活動の話をしているみんなの笑顔が、脳裏をよぎる。
蓮の親が理事長と繋がっているのは紛れもない事実だ。俺のせいで、みんなの人生が、夢が、全部壊される。
「ほら、どうするの? いるま」
陸がニヤニヤしながら、俺の首元に指をかけ、制服の襟を少し引き下げた。
昨日付けられた黒い革のチョーカーが、昼の教室の光の中に露わになる。
俺はただ、唇を血が出るほど噛み締め、悔し涙を堪えて俯くことしかできなかった。
コメント
1件
もう……読んでて胸がギュッてなったよ。いるまくんが学校でもあの4人に支配されてて、しかもシクフォニのメンバーを盾にされてるの、マジで理不尽すぎる。蓮の「シクフォニのこと、いいの?」って一言で全部封じられるところが、読んでて拳握ったわ。チョーカーを無理やり見せられて、悔し涙をこらえて俯くしかない描写、すごくリアルで辛かった。続きが気になる……!