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「遥香様、お食事後にお時間を少しいただいてもよろしいでしょうか。ドレスのリメイク案を考えましたので、どれがご希望に合うかのご確認お願いします」
翌日の月曜日、奥様と一緒に夕飯を食べている遥香に、お茶のおかわりを出しながら聞いてみると
「そうね、もう土曜日まで1週間を切ったもの」
と返事が返ってくる。
「え……今週の土曜日ですか?」
「そうよ、言ったでしょ?」
いやいやいやいや…待って、来週の土曜日だと聞いていたけど?
「デザイン的に、リメイク出来そう?」
やるしかないのよ。
「ネイビーの異素材ドレスはちょっと私には難しすぎて、申し訳ございませんが、出来そうにありません」
「真奈美にそこまで期待出来ないってことね。他は?」
「ピンクのドレスは、レース部を外してキャミソールドレスに出来ます」
「夜のパーティーじゃないから、キャミソール型なら羽織る物がいるわよ、遥香」
奥様はお箸を置いて、遥香を見た。
「あの安物のドレス、使えないわね。ブルーのは?」
遥香、ナイスよ…ブルーに食いついてちょうだい。
「ブルーのドレスはシンプルですので、まず襟を広げて、カットした布と同色のリボンを組み合わせてチョーカーリボンを作ることも出来ます。もちろん遥香様のジュエリーを合わせられるなら、このチョーカーはいりませんけれど。あとはスカート部に同色のチュールを重ねてボリューム感を出せば雰囲気は大きく変わると思います」
「重ねるって、ウエストの部分がおかしくならない?」
奥様はいろいろとリメイクのイメージをして、遥香が恥ずかしい思いをしないようにと考えているのだろうか。
「チュールを購入する時に、シルクかサテンのベルトになるものも探します。チュールをつけた部分はベルトを縫い付けることで隠れます」
「それはいいけど、上が寂しくなるわね」
そんなことは、アナタのジュエリーでなんとかしなさいよ!
「ベルトと同素材で、コサージュを作ればいいんじゃないかしら?ブルーのワントーンだけれど、素材違いとボリューム感のあるデザインで可愛く存在感のあるドレスになると思うわ」
一度だけ、クソばばあ……と言わせてください。
コサージュ?
そのコサージュ、誰が作るの?
「さすが、ママ。そうするわ。チョーカーリボンもね、真奈美」
最悪のオーダーじゃないか……ブルーに決まったのはいいにしても、一番手間ひまのかかるパターンだ。
「お時間が……ちょっと間に合うかどうか……」
「間に合わせるのもアナタの仕事。じゃあね」
遥香が席を立ってダイニングを出て行くと
「明日、チュールなどの買い物に運転手を使いなさい。支払いは彼が出来るから、遥香が満足出来るドレスに仕上げて」
奥様はそう言って、お茶を持って出て行った。
うまくいったようで……なかなかハードなことになったな。
はぁ……
月曜日は広瀬さんが休日なので、私が食事の片付けを一人でしないといけない。
準備は前川さんと一緒にしたけれど……
はぁ……
「どうかした?」
「あ……篤久様、おかえりなさいませ」
トロトロと片付けをする私に
「大丈夫か?今から、父と食事いいかな?」
と様子を窺いながら聞いた。
「はい、すぐにご用意いたします」
「ありがとう。着替えて来るから、ゆっくり準備してくれていい」
そう微笑んで出て行った篤久様……素敵だわ。
奥様と遥香は“ありがとう”って言ったことがないのよ。
コメント
4件
真奈美ちゃぁん💦大変やけど、👗✨頑張ってね🥹💪 私も篤久様の笑顔を拝みたい✨✨💗
ゲッあれ母が余計なことを!! 真奈美ちゃんの腕の見せどころよ、羨むくらいのドレスにしましょう✨
ブルーに食いついてはくれたけど、あれバばあ…( ー̀дー́)チッでも車使わせてくれのはよかったよ。 篤久様✨素敵だわよ〜。お会いできたから少しパワーいただけた?がんばれ!!!あれ親子もびっくりくらいのドレス作ってね꒰՞⸝⸝•̀𖥦•́꒱و ̖́-