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「……やべ。フィルター、かかりだしたかも」「ん?」
にこりと、いつもの笑顔に戻ったいつきくんと目が合い、俺は思わず顔を逸らした。
ヤバい。めちゃくちゃ格好いい。
え、なに……俺の彼氏、こんなに格好良かったの?
どうするんだよ。こんなの女の子に絶対モテてんじゃん。知ってたけど、いつ誰に取られるか、明日からずっとヒヤヒヤしなきゃいけないじゃん……!
♢♢♢
「おはよういっちゃん! 俺、無事生還したよ!」
「ともや! 遅刻するなら連絡入れろって! マジで心配しただろ!」
一時間目が終わった直後、教室の後ろのドアが勢いよく開き、ともやが飛びついてきた。休みすぎて朝起きられなかったらしい。こっちはともやが来ないことが怖すぎて、逆に連絡すらできなかったっていうのに。
「おはよう、ともや。よかった、元気になったんだね」
「おあっ、あぁ……いつきくん、ありがとう」
不意に、俺に抱きついていたともやの腕がひっぺがされた。……と思ったら、なぜかいつきくんがともやを抱きしめている。
「ともや生還おめでとう」
「おおっ、え、なんで? しゅうと?いや、ありがとう……?」
次はしゅうとに引き剥がされて、いつきくんがキョトンとしている。……てか、なんでしゅうとがともやと抱き合ってんだよ。
「おかえり~! ともや~! 俺っちもギュッてする~!」
「おおっ、え? 何? みんなどうしたの?」
今度は、りゅうせいが二人を引っ剥がして、ともやの顔が歪むくらい力任せに抱きついた。
なんだよ、久々に会ったんだからゆっくりハグくらいさせてくれよ。少し拗ねていつきくんの方を見ると、あいつは楽しそうにその光景を眺めたあと、「ん?」と首を傾げて俺にニカッと笑いかけてきた。
「……くそ、かっこいい」
俺の耳が真っ赤になっているのが自分でもわかる。隠すように机へ座ると、いつきくんが不意に歩み寄ってきて、俺の頭をポンポンと叩いた。
なんだよ! なんで俺の方が、こいつに恋い焦がれてるみたいになってんだよ。違う、間違えるな。あっちが俺に馬鹿みたいに惚れてるんだ。……こんな余裕のない顔すんなよ、俺、ダセェな。
「……いっちゃん、今日バイト終わりに会える?」
しゅうとたちが騒いでいる隙に、いつきくんが耳元で囁く。
「え、今日月曜だろ?」
「……恋人同士なのに、そんな曜日に縛られなきゃいけないの?」
少し頬を膨らませて拗ねるいつきくんを見て、思わず吹き出してしまった。
「そうだな。……いいよ、家で待ってる」
つい「バイトが終わるまで」と言い忘れたせいで、いつきが「家に行っていいの!?」と大声で叫んだ。直後、しゅうと警察に即座に確保される。本当、お前の周りの連中はどいつもこいつも面倒くさいなぁ。
♢♢♢
で数時間後の俺の部屋。
「……で? なんでこんなに人数がいんだよ?」
「いつきくんのバイト先でご飯食べて、そのまま来ました。え? 俺らも良かったんですよね?」
「だって大勢の方が楽しいもんね?」
「いや、よくねぇよ! お前ら一人も呼んでねぇし!」
俺の部屋に、180センチ超えの男が四人と、173センチの男が一人。……しゅうとだって、二人といると小さく見えるけど、こうして見るとそれなりにデカいんだな。
「え、久々に会ったのに、俺も除外なの?」
あからさまに「なんで?」という顔をするともやを見て、しまったと思った。俺、ともやには何も伝えていなかった。
「ごめんね、ともや。……もういっちゃんは、ともやだけのもんじゃないの。俺のものになったの。わかった?」
珍しく、いつきくんが少し威圧的な声を出した。……正直、その独占欲を向けられているのが自分だという事実に、ゾクゾクするほど嬉しくなってしまった。本当にごめんな、ともや。恋ってのは、こういうものなんだよ。
「え……友達になったって、言ってたもんね?」
「やばい、ともやの頭から煙が出そう」
りゅうせいが面白がって、ともやの頭をワシャワシャと撫で回している。
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