駆けつけた医者がロートの容態を見て、唖然とした。
「ほ、本当に治ってる…!?」
「ま、魔力の流れも正常ですっ…!」
どうやって治したのか、と問われたロートは「シャルロットです。」そう答えた。医者は首をグリンと周し、シャルロットに近づき、「どうやって治したのですか!?」と興奮した様子で問う。
「え…ちょ、あのっ」
戸惑うシャルロットの言葉を押し退け、質問をし続ける医者の肩をぽん、と叩いたロート。
「シャルロットが困ってます、お 静 か に 、お願いできますか?」
微笑んでいるが、その目は笑っておらず、医者はひぇっ…と声を上げ小さな声で「も、申し訳ございません」と謝り寝室から出ていった。
「シャルロットも、今日は休んでください」
「はい…あの、この事は…」
「大丈夫ですよ、ここに居る全員に口止めしておきます。」
「はい、ありがとうございます!」
ロートの寝室を後にして、自身の寝室に戻る。
ベッドの上に倒れ込み、そのまま眠った。
__________________
あの日からロートは徐々に回復していき、普通に生活出来るくらいには元に戻り、入学の日は予定通り王と王女の挨拶が行われる。
「俺たちは先に行ってます」
城の前に止まる馬車の目の前で、言うシャルロット、ロートは口元に当てていた扇子を畳み、微笑んだり。
「シャルロットもロイも、気をつけていくのよ」
「はい」
「はい!」
ロイが乗り込んだ後、シャルロットはロートに駆け寄り、耳打ちをした。
「お母様、俺が治したってこと隠してくださって本当にありがとうございます…」
「気にしなくていいのよ。学園生活、楽しんで来てください」
「はい!」
______________
馬車で、特に何も無く、ロイと学園楽しみだね、という世間話をしていたら学園に付いていた。
人は新入生に溢れており、続々と椅子が並ぶ室内の大広場に入っていく。シャルロットとロイもその流れに身を任せて大広間へと向かった。
全員が椅子に座り、ゴォーン、ゴォーン、ゴォーン、と繰り返される時計の鐘が鳴る。
コツコツとヒールの音を立て、1人の女性が歩いてきた。
「初めまして皆様、私はメルーデル学園の校長、ミルアーナと申します」
「この度は、メルーデル学園にご入学おめでとうございます。皆様に会えたこと心より嬉しく思えます」
その後校長、ミルアーナによる学園での話が続き、ナシードとロートがでてきた。
周りの生徒がザワザワとし、嬉しそうな声が上がる。
「皆様、ご入学おめでとうございます。私はこのメルーデル王国女王ロート・メルーデルです。」
丁寧な挨拶をし、ドレスの裾を上げ、美しい礼をする。
「君達、入学おめでとう、儂はメルーデル王国、王。ナシード・メルーデルだ」
頭など下げる気がないナシードは突っ立ったまま偉そうに挨拶をした。
その事に内心イラつきを立てるのはシャルロット位だった。
「え、ロート様って魔力欠損になったんじゃ?」
「メルーデル引き取られた聖人様が治したんだよ!」
「私達聖人様と同じ学校なんだ!」
「まぁ、犯罪者予備の闇魔法使いもいるけどな」
ボソボソと喋る新入生は聴こえていないと思っているのだろうか?モロに聞こえている。
闇属性全員を犯罪者だと思うのはやめて欲しい。
ミルアーナが咳払いをし、さっきまで喋っていた人達はすぐに静かになった。
「…それではメルーデル学園の生徒会長を変わります。国王様、王女様、ありがとうございました。」
メルーデル王国生徒会長
ルイス・サルーム・レイート
本来であればレイート国の学園にいるはずだが、時期王として、他の国との交流のためメルーデル王国に在籍している。
レイート王は信頼しているメルーデル国になら大丈夫だろう、と思い、そうした。
ルイスは、本来のシャルロットの好きな人だ。
シャルロットは何度か国のパーティーでルイスとあっていた、その時には既に好きになっていた。自分を見た目で嫌わない彼に
でもルイスは違った。突然メルーデル家に次男としてきた聖人、ロイに一目惚れをした。 パーティーの際、いつもはシャルロットの横に来てくれるはずのルイスはロイの横に行った。これが少しでもシャルロットに挨拶をしてくれたらここまで拗れなかったのかもしれない
シャルロットには少ししか見せなかった笑顔を、ロイにはすぐさま見せたのだ。ルイスは基本表情が動かない、だから笑いかけてくれない事はなんとも思わなかった。その笑顔がロイに向くまでは
シャルロットはそれが寂しくて悔しくて辛かった、それでロイを虐めてしまった。
本当は虐めようなんて思っていなかった、でもロイを見ると嫉妬と悔しさが入り乱れ、無視から始まってしまった。
「新入生の皆様、初めまして私は3年、ルイス・サムール・レイートです」
「この度は、ご入学おめでとうございます。分からない事があればいつでも生徒会に相談しに来てください。」
6年間ある学園生活で、3年にして生徒会長に成り上がった天才だ。
________________
「クラスは、Aクラスか」
紙に書かれた名前を探すと、1-Aと書かれていた。
クラス分けに特に意味はない。
・ __・______
・ _____・______
・シャルロット・ウィル・メルーデル
・ロイ・メルーデル
(ここは小説と同じ…
席は小説と同じ並び順だった。すると、ザワザワと席に座っている女子生徒達が話し始めた
「え、生徒会長がなんでここに」
「ルイス様だわ!」
「ロイ!」
女子生徒の黄色い声の理由がわかった。1年の教室にいるはずもない3年の生徒会長、ルイスが入ってきたからだ。ルイスはシャルロットには目もくれずロイが座っている席に近づいた。
(流石に挨拶はしようよ!人としてどうなの!
ちょっと怒である、そこまで本気では無いが。
「はぁ…とりあえず、ここから始まるロイのハーレムに巻き込まれないようにしないと…」
ボソリと外を見ながら呟いた。
「ん、ああシャル、久しぶりだね」
やっとシャルロットに気づいたルイスは声をかけた。
「ええ、そうですね。お久しぶりです」
「…少し変わったかい?」
「いえー、そんなことはありませんよー」
ルイスはいつも撫で声で話しかけてくるシャルロットがいつもと違い、違和感を抱いた。今のシャルロットは碧であり、撫で声で話す事はなかった。
「まぁ、いいか。それよりロイ、今日の夜、一緒に夕食を取らないかい?」
「は、はい!もちろんです、シャルロットは?」
「俺は遠慮しておきます、お2人で楽しんできてください。」
「?…じゃあロイお昼に迎えに来るね」
ひらりと手を振りルイスは教室を去っていった。
_______________
寮の説明、他の教室や食堂の案内が行われ、今日はそこで終わった。
なんだか、夕食を取る気になれず、食堂まで一緒に行こうと誘うロイを断り、寮に戻る事にした。
寮
6年間、生徒は学園の寮で暮らす。3年からは一人部屋も選べるようになるが1、2年生は2人部屋になる。
寮の部屋を開けると、1人の生徒が荷物の入った箱をちょうど置いている所だった。
「俺はルカ、よろしく、シャルロット様」
「様はいらない、好きな呼び方でくれ」
「そう?じゃあシャル、よろしくな」
灰色の、黒が混じった髪に濃い青色の瞳、両耳に1つずつ開けられているピアス。
身長が高く、見上げる形になりながら握手を交わす。
ニコニコと、よく表情が動く人だな、[[rb:碧 > 俺]]の知り合いに似てるな…なんて事を思いながら眠気にぼぅ、とする。
「…シャル、隈すごいね?」
「ん…ちょっとな…5年間、調べ物するのに徹夜してたからな」
「5年!?その調べ物は終わってるの?」
「ああ…うん、もう終わってるよ」
「シャル、お疲れ様!」
笑顔でシャルロットの頭に手を置き、髪の流れに沿うように撫でる、キョトンとしたシャルロットは手を口元に持っていき、微笑んだ
「ふ、ふふ…ありがとう」
これ流石に不敬になる???と突然心配してワタワタしだすルカに「俺は大丈夫だけど、他には気をつけてね」そう言うとルカは、「大丈夫!シャル以外にはやらないよ」とまた笑顔になったルカが自信満々に言った。
眠気と戦いながら、必要な物だけを荷解きし、その日は眠った。
__________________
4話 エンド 12⁄1
ルカ シャルロットと同部屋。
濃い青い目、灰色と黒が混じった髪色。
両耳に1つずつピアスが開いている。
基本学園の制服のシャツとスラックス、ネクタイ、長めの黒いローブを来ている。
大体のイメージです
1年 15歳 シャルロット ロイ ルカ
(ロイは16歳だけど、途中入学のため1年)
2年 16歳
3年 17歳 ルイス
4年 18歳
5年 19歳
6年 20歳
コメント
3件
ルカさんとシャルさんの組み合わせ、素敵ですね!続きを楽しみにしています。 ·͜·♡.*゜