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ろのみ🩵🫧
43
#愛され
おうか
252
――週明け、忍者のように忍び足でキョロキョロしながら歩いた。
あと1ヶ月程とはいえ、一晩過ごした彼とは会社が近い。でも、今までも会った事ないしなぁ。
背の高い彼は目立つだろうし、居たとしても、向こうが私に気づくまでには逃げられる。
こっちが気にするほど、向こうは気にしてないかもしれないけれど。
だけど、念の為……向こうの会社辺りは避けた。あのホテル近辺も。元々仕事は外出が多かったが、辞めると決まってからは引き継ぎ作業も多く、オフィス勤務が増えた。
月曜、火曜、水曜……会わないもんだな。
──そんな、油断していた木曜日。
仕事が立て込んで、少し遅めの昼休みだった。オフィス街の昼休みのピークも過ぎた頃。
敢えて、彼の会社から遠目のカフェで軽食を取り、帰りにコンビニへ寄った。
彼だ!
そう思った時には遅かった。しっかりと目が合った。
だけど……私の予想を裏切って、彼は面識がない人のように目を逸らした。そして、何もなかったかのようにコンビニを出て行った。
……なんだ。そっか……バカみたい。彼は……彼に取っては、あれくらい……。
自意識過剰。
自分で避けておいて、避けられると傷つく。勝手だな。
買い物を済ませ、コンビニから出るとビクリと飛び上がった。……心臓が……止まるかと思った。
そこには、あの笑顔。
「やぁ、また会えたね。湊」
「ええ……清……水部長」
私もすぐに笑顔を作って、そう言った。
やられた。そう思った瞬間だった。
「今日、仕事何時に終わる? 」
「えっと……今日は……」
「このまま、会社へついていこうか? 」
笑顔で、でも、脅すようにそう言われ
「18時半には」と小さな声で答えた。
……会社を知られる訳にはいかない。
「ここで、待ち合わせる? それとも、会社まで迎えに行こうか? 」
私がそっちの会社へ行く選択肢がないことで……見られたらまずいのだと悟る。
「ここで」
「OK、後でね」
そう言って、彼は意味ありげに私を見つめると去っていった。
心臓がバクバクしてる。
あの夜から1週間経ってない。見つかりたくなかった。
なのに……嬉しいと思ってしまう。
そんな気持ちを打ち消すように、スマホの電源を落とすと、会社のデスクの引き出しにしまった。
必要ない。必要ないから。なんならそのまま逃げても良かった。
なのに、あの場所へ私は向かったのだった。約束の時間より、少し早めに。
今ならまだ軽傷で引き返せたというのに。
――そのまま、食事へと向かう。
今日は飲むのは1杯だけということになった。
「俺はね、何も1回だけのつもりで誘ったんじゃないよ」
生々しい描写が思い出され、顔が熱くなる。
「君も、だろ? 」
清水部長が耳元でそう言う。彼の低い声が吐息とともに届く。すぐそこにある彼の顔をを見上げる。熱っぽい目に捕らわれる。
身体が芯から痺れるような、目に。
「行こうか」
店を出た彼に続く。
人気のない路地を少し離れて歩く。周りを気にするようにした後、彼は私を引き寄せた。
ああ、だから……奥まった店。人気のない路地……か。
彼の家へと向かう。いつもの冗談もなく言葉は少なかった。
玄関に入るなり、覆い被さるように性急にキスをされる。深く……重く。
キスをしながらも、止まることなく動く、彼の大きな手が、身体を確かめるようになぞり、ニットとスカートの隙間から、直接肌に触れる。私より、彼の手の方が体温が高くその熱さが伝わる。
可笑しい。
「せっかちだなぁ、清水部長」
この関係は、そういう事なのだろうけど……。ばつが悪そうに、髪をかきあげ、横を向いた彼の頬に口づけた。
「可愛い」
ずるいなぁ、もう。この顔は反則。
「逃がさない。もう……」
彼は私を強く抱き締めそう言った。動けなかった。抱き締められたまま、彼の顔が近づくと再び唇を合わせた。
顔を離し、彼と目を合わせて笑った。
コメント
1件
うわああ第16話読み終えたよ〜!!😭💕 避けてたのにコンビニでバッタリ…からの“やぁ、また会えたね”って、清水分かっててやってるでしょ〜!!ずるい男すぎる!!笑 でも「逃がさない。もう…」のとこでマジで胸きゅんした…。逃げたいのに嬉しいって思っちゃう湊の気持ち、めっちゃ分かるしその心情描写がエモすぎるよ…✨ 次、どうなっちゃうの!?続きが気になって夜しか寝れない…🌸