テラーノベル
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〜注意事項〜
・1話参照
◇◇◇
「 待たせたな、 」
数分後、息を切らしたrbがやって来た。
いや、呼んだのはrbだけのはずだった。
「 ciはどこや!? 」
「 アイツの好きなお菓子持ってきためう!! 」
「 ciくん怪我してない!? 大丈夫!? 」
何故だか、全員が集合することとなっていた。
rbの後ろにわらわらと、皆が歩いてくるのを見て、shpはポカンと硬直。
knは楽しそうに笑っていた。
「 お前らの事なら、来ると思ったわ!! 」
「 ま、黙ってられねェよな。 」
tnが真剣な顔つきで頷いた。
それも硬直したまま見ているshpに、utが駆け寄ってきて肩を叩く。
「 ciが洗脳解けても、お前が怪我してたら意味ないやろ?? ほら、後は俺らに任せえ。 」
「 …でも、 」
「 ciも、お前にも。 頼もしい味方がおるんやからさ。 」
ねっ!とutが微笑む。
そんなutの背中を叩いて、shoが顔を出した。
「 自分で頼もしいって言うんや。 」
「 う"。 べ、別にええやろ!! 」
「 ははは!! とりあえず、shpくんはemさん達と一緒に車におって!! 」
「 …分かりました、 」
emがやってきて、shpに肩を貸した。
車の中には、snが待機しているらしい。
「 …なんで俺はciといちゃだめなんすか。 」
「 あはは、多分knさんとut先生のアレやろうね。 」
「 ……アレ?? 」
「 昔、ut先生が洗脳されたんや。 知らんよね、shpくんは。 」
「 え、ええ"ッ!? 」
emは笑いながら話し出した。
きっと今となっては笑い話、とかいうモノだろう。
どうにも、utは過去動物関係の施設に潜入をしていた所、洗脳をかけられてしまったのだと。
それをknが助けに行き、助けられずに重症。
その後、助けに来た皆と協力して敵陣を制圧。
rbの音割れボイスによって、utはようやく暴れなくなり、それから時間をかけて洗脳を解いたのだ。
実体験を今でも楽しげに語るutによると、自分で傷つけた仲間が目の前にいるのは、凄くメンタルに来るから辞めた方が良いということ。
rbの声が耳に届いたことを初め、皆の声が聞こえるようになったということ。
「 …だから、shpくんもciくんもお互いのために、今はut先生とknさんの言う通りに動いた方がええかもね。 」
「 そんなことがあったんすか… 」
「 せやね。 それからut先生の潜入調査はknが引き継ぐことになって、代わりにut先生は内部の仕事が増えた。
ciくんの洗脳を聞いた時も、ut先生が一番に動いてたからなあ。 」
車の傍で立っていたsnが手を振りながら笑う。
「 ウチの子達はみんな有能だからね。 」
親のように、微笑むsnの笑顔に、shpは頷くばかりであった。
◇◇◇
数時間が経ち、車のドアを開けて入ってきたのは、怪我をしたtnと縛られたciであった。
shpは縛られているのを見て、目を逸らす。
そう、ciの洗脳は解けなかったのである。
「 すまん、先に帰っててくれ。 」
そう言ったsho、悔しくて座り込んでいるrbの背中を摩っていた。
tnは息を切らしながら窓を開けた。
「 …これは、俺の予測やねんけど。 」
emは頷きながら、車を発進させた。
「 ciは洗脳の類にかけられた訳じゃない。 」
反応できないshpに変わり、snは理由を尋ねると、tnは気絶しているciの頭を撫でながら言った。
「 …ciが争った形跡がひとつもないってだけなんやけどな。 身体にも、あの小屋にも、なんともないんや。 そんな一瞬でかけれる洗脳があると思えへん。 」
「 rbさんの声も届かなかったってことやろ?? 」
emの問いに、深く頷いた。
rbは辛かっただろう。emは唇を噛む。
tnは目にかかる前髪も気にせず、ciを撫でていた。
「 ciは、自分で自分を閉じ込めてるんちゃうかと思ってる。 」
「 …え?? じゃあ、ciくんは自分で自分を洗脳したって訳?? 」
snが驚いたように顔を上げる。
窓から入り込む風に前髪を動かせながらtnは再度頷いた。
「 zmから聞いたが、ciは誤ってshpを撃ってまったんやろ?? 」
「 …はい。 でもわざとじゃないです。 」
shpは小さな声で震えながら言った。
「 うん。 でもコイツは酷く自分を追い詰めたやろうな。shpのこと大好きやからな。 」
「 ふふふ、お互い愛されてんね 」
snは励ますように微笑んだ。
ぐす、と鼻をすする音が微かに聞こえる。
「 その結果、俺らにも合わせる顔が無くなって、この小屋に逃げ込んだ。 その後、ずっとずっと考え込んでる内に、自分を覆いかぶすように消した。 」
「 …俺達は信用されてなかったんやろうか、 」
emの呟きにtnは首を振った。
「 違う。 大好きやったから。 」
「 …俺らから愛されてるshpくんを撃ったら、大好きな仲間にも罵倒されると思ったんだろうね。 大好きな相棒を撃ち、大好きな仲間に罵倒される…そんなの考えただけで辛いわ。 」
snは想像をして眉毛を下げた。
ciくんも俺らに愛されてるってこと、あの子は気づいて無さそう、と苦笑しながら。
「 …ci、 」
「 洗脳を解くには、shpの力が必要や。 お前にとって本当に精神的にクる戦いになる。 少しでもやれそうだったら手伝ってくれ。 」
shpは手を伸ばし、ciの頬に触れた。
暖かい、生きている。
この熱を、手放す訳には行かない。
shpは深く頷いた。
◇◇◇
城に戻ると、ciは地下室の物置に監禁されることになっていた。
だが、shpはそれを拒み、自身の部屋に連れて来てくれと頼み込んだ。
部屋と行っても、隠し扉がありその中の小部屋にだ。
元々、ciとこっそり遊ぶ時に使用していた部屋。
もしかしたら何か思い出すかもしれないから。
tnは悩んでいたが、grが許可を出した。
何か手伝わせてくれと名乗ったのは何人もいた。
けれども、結局頼ることにしたのはutとknであった。
2人は、洗脳の経験もある。
それになにより、ciとの関係も深いだろう。
そういう意味ではtnも呼びたかった。
だが、tnはそもそも手伝いたいと名乗り出なかった。
恐らく、精神的にキツかったのだろう。
tnはshpよりもciとの付き合いが長い。
噂によると、同郷だったとか。
それは想像しがたい辛さだろう。
それから数日が経った。
「 こんばんわ〜。 ciは?? 」
夜になり、ひと仕事終えたutがやってきた。
shpは動かしていたペンを止めて、隠し扉を開く。
「 今日大人しいですよ。 」
来た当時は、暴れていて扉を閉めていても、声が聞こえていた。
声は悲痛な声色で、結構メンタルがやられそうになった。
だが、負けずに毎日声をかけていたら、大人しくなったのだ。
「 …こんばんわ、ci。 腹減ったやろ、飯食うか?? 」
ciはまだ、shp達の前で食事を取ろうとしない。
おにぎりとペットボトルを数個入れて、扉を閉めれば自分のタイミングで食べてくれるのが幸いだ。
今日も、やはりshp達の前では食べようとしなかった。
「 ci。 」
俯くciに、shpはしゃがんで声をかけた。
ciは柱に足を括り付けられている。
動けばするが、精々この部屋の中だけだ。
「ci、今日は大人しくしてくれたんやね、ありがとう。 ええ子。」
「 … 」
目線がshpを向く。
虚ろだが、その目には涙が溢れそうになっていた。
「 …ci、お前ほんまに偉いなあ。 辛かったやろ、おにぎりばっかで飽きるやろ、よう耐えとるよ。 」
utがciの頭に触れてみた。
初めて、抵抗せずに頭を差し出したciに、shpは目を丸くする。
「 ci、もしかして…俺達の声聞こえとる?? 」
「 … 」
「 うん、えらかったな。 shp、タオル持ってきてくれへんか。 」
「 タオル?? 」
shpは部屋からタオルを持ってきた。
utはそれを受け取ると、ciの目から零れ落ちそうになっている涙を拭いた。
「 ci、触ってもええ…?? 」
shpは地面に落ちている手を、取った。
当初は振りほどかれたが、今はされるがままだ。
「 ゃだ…やだ、ぃや…だ 」
微かな拒否に、shpは手を離そうとする。
それをutは止めた。
そっとshpの俯き気味の頭に手を乗せて、支えてやる。
「 ci、帰っておいで…俺もう元気やで、早く一緒にご飯食べよう… 」
「 …ぅ、ゃ、 」
shpは手を握りしめる。
ciがボロボロと涙を零すのを、shpは悔しそうに見つめた。
それから数分の間、shpはciの傍にいた。
ずっと手を握っていた。
ciはその間ずっと弱々しい拒否を続けた。
それでもshpは俯きながらciの傍にいた。
「 …shpくん、もう夜やし俺らも飯食いに行こう。 」
「 …はい、 」
「 knが、飯温めてくれたらしいわ。 ciも、おにぎり食べるんやぞ、温かいお茶かなんか持ってくるわな。 」
微笑むutを、瞳が捉えた。
「 ci、また来るから。 」
「 …、 」
ciの顔が、初めて上を向く。
shpの顔を追いかけるように、上を向いた。
目が合うと、は、と息をこぼした。
ciの目が一層大きく開き、涙で潤んだ。
「 …sh、 」
微かに開いた口は、静かに閉じてそのまま頭を落とす。
疲れて寝たのだろう。
けれど、shpにその声は届いていた。
確実に、shpの名を読んでいた。
嬉しげに微笑むshpの背中をutが叩く。
振り向くと、utも嬉しそうに笑っていた。
「 飯、食べようぜ。 」
「 そうっすね。 」
shpは自身の上着をciに被せて、扉を閉じた。
◇◇◇
「 shp。 」
夜食を食べ終え、自室に戻ろうとするshpに、風呂上がりらしいrbが声をかけてきた。
rbはタオルを首にかけ、まだ乾かしきっていない髪の毛を下ろしながら、こちらを見あげる。
「 どうしました?? 」
「 …ciの調子は、どうなんや。 」
「 いいと思います。 もう、暴れてませんし。 」
「 そうか… 」
役に立てなかった事をどれほど気に病んでいるのか、rbはよくciの様子を聞きに来ていた。
髪の毛から垂れた水滴が、顔に着くのをshpは拭いてやる。
「 来ます?? 」
「 えっ!! 」
そう問うと、rbは顔を勢いよく上げて頷いた。
水滴が飛ぶのも気にしない。
shpが歩き出すと、その隣を着いてくる。
自室を開けると、rbは部屋をキョロキョロを見渡した。
shpはこっちです、と隠し扉を指差す。
それから扉を開けると、rbは恐る恐る中を覗いた。
中には、shpの上着を抱きしめて寝ているciがいた。
すうすう、と寝息を立てていることに安心する。
rbは音を立てないように中に入った。
ciの目の下にある涙の跡を触る。
「 …役に立てんくてすまんなぁ 」
rbがciに謝るのを、shpは無言で見ていた。
rbが悪い訳ではない。
だからと言って、ciが悪い訳でもない。
この件は自身の責任だ、とshpは俯く。
すると、まるで心を読んだかのようにrbが振り向いた。
「 shpくん、ありがとう。 ciの事救ってくれて。 」
「 …!! あ、ああ…はい。 」
「 洗脳の類は、全部俺ができるなんて、思ってたもんやからさ…。 目の前真っ暗になって、ほんま冷静さも失ってたわ。 」
「 …そりゃそうですよ、悪いことじゃないです。 」
「 はは、優しいやん。 …でもほんまよかった、shpくんがいてくれて。 」
rbはよいしょ、と立ち上がった。
にっ!と微笑むと、shpの肩を背伸びして叩く。
「 お前のことはよう分からんが、もし自分を責めてんなら今すぐやめろ!! お前はようやったよ。 」
「 …!! 、っす。 」
先輩らしく笑うと、rbは袖口に手を入れて、扉を潜った。
「 今日はちゃんと寝ぇや。 」
「 はい。 」
「 …お疲れ様やで。 おやすみ。 」
「 …おやすみなさい、 」
rbは静かに去っていった。
開いたままの扉から、ciを見る。
ciは微かに口角を上げながら寝ていた。
shpはその姿に再度安心し、ciの頭を撫でる。
「 …おやすみ。 」
そう声をかけ、扉を閉じた。
今回は5000文字まで打ち込みました👍🏻
3話合わせると、13000文字くらいかな
いい調子で満足満足
ここまで書いといてなんやねんって感じですけど、ハート少なかったら連載止めて他のリクエスト移りますね💦ごめんなさい
モチベ的に、ジャンジャカ作った方が効率的だと判断したら連載止めようかなって
コメント
6件
この話好きすぎる…!
「この熱を手放すわけにはいかない」ていう表現?凄いかっこよくて好き♡最後らへんでciさんがsypさんの名前言ってsypが喜んでるの可愛い… 連載やってほしい!在り来りでも見たい!