第6話 素直な気持ち
もうすぐ惑星エフェリアに着く。
未知の世界だ。
着陸時の衝突に備えて彼女たちにゴミでありあわせの
シートベルトで巻き付ける。
「汚いが我慢してくれ」
自分も衝突に備える。
落下地点を想定するに小さな集落の近くに落ちる。
周りは砂漠のようだ。
ものすごい衝撃とともに、地面へと叩きつけられる。
俺は勢いで、船内の壁に打ち付けられる。
船内が止まりだした。
着地できたのか?
とにかく二人を連れ出さないと。抱えて出るが、胸のあたりに激痛が走る。今は無視し、夜の砂漠の岩に横たわらせる。
集落のエフェリア人が異変に気付き、こちらに向かってくる。
寒くて、手がかじかみながらも鉄パイプを持ち警戒する。
少しずつ彼らは近づいてくる。
警戒心はあった。しかし俺は鉄パイプを捨て
「助けてください!」俺は叫んだ。
「少女と女性が弱っています。助けてください」
懇願する。
現地の人たちが何かを話かけるが、すべては聞き取れなかった。極度の疲労で。
一言だけ理解できた。
「彼女たちを安全なところに移動する。このままでは低体温症になり危ない」
「お願いします」藁にもすがる思いだった。
「君は大丈夫かい?」エフェリア人が心配する。
「後からいきます」そう告げた。彼らには殺意が感じられず、二人ならきっと大丈夫だろう。
俺はもう関わらない方がいい。彼女たちを危険に巻き込むだけだ。
胸を痛み押さえ、空を見上げる。
俺の役目は終えた。心残りは・・・ない。言い聞かせる。
そこに一人の女性が走ってくる。
「ふたりをどうか助けてあげてください。差し上げられるものはございませんが、どうか、どうか」それしか俺は言えることがない。
なぜか彼女は涙ぐんで続ける
「私の愛しき娘を返してありがとうございます」
「え!?酷い傷。すぐに手当しないと」
彼女があの少女も親なのか?
俺は彼女の手をはらう。
「いいんです。私の役目は果たしました。ふたりをお願い致します」
「まだ終わっていません。あなたはここで死なせたりしません」
俺も集落へと担ぎこまれた。
集落ではふたりは看病されている。おれは、合わせる顔がなく外の空気吸いにいく。
診断によれば、俺はただ肋骨が折れているだけだそうだ。
俺は荷物をまとめていた。
(どこか離れよう)
「行くの?」シドニーの悲しい声が聞こえる。
「君を巻き込みたくはない。俺の近くは危険だ。企業にもここに降りたことはバレている。俺が注意を引く」俺は彼女の目をみれない。
「お話してくれるんじゃないの?あれはうそ?」ぼっそと言う。
俺は振り向き、「噓じゃない」
(自分の気持ちには嘘がつけないものだな。。)
「星を眺めないかい?綺麗だよ」シドニーは嬉しそうについてくる。
バルコニーで星空を見ていると
彼女は言う「助けてくれてありがとう。女の子も回復しつつあるわ」
「良かった」俺は彼女にどう接したらいいか分からない。
「キリル、私が船内で言ったこと覚えている?」
「もちろん」
「あのね。とっさに出た言葉だから。キリル、私はあなたを縛るつもりはないからから・・」
困惑した顔で言う。
「あなたはあんな状況だからこそ、返してくれた言葉だって分かってる」
・・俺は彼女を抱きしめて、唇を合わせる。
彼女の唇は温かく優しかった。
お互い激しく求めあう。
「ずっとこうしたかったんだ」彼女の頬を撫でる。
「私もよ、キリル」
横になり、「これからどうする」俺は呟く。
「あなたと一緒なら」彼女は笑顔でこちらをみる。
空気が澄んでおり、まぶしいくらい星がみえる。
「そろそろ、もどろっか」
「そうね」
室内に戻ると、少女が回復していた。
「あの時は助けられなくてごめん。」
「何が起きたか、教えてくれるかい?」
少女は、まだ酷く困惑しており会話できそうにない。
私から話そう。集落の長?の方が重い口を開ける
「我々は、セロトニンカプセルの犠牲者だ。何人ものエフェリア人が実験台として使われていた」
俺は唖然とした。
「少し話長くなるがいいかな」彼は続ける。
「もちろん、全部教えてください」迷わず答える。
俺は彼の話を聞き終えるころには、怒りの感情が爆発していた。
(続)
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