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息抜きruwn
『わり、ウェン、任務入った』
「ありゃ」
久々の恋人と過ごす時間に水を差すかのように任務が入った。
すっとぼけた声を出したものの内心彼も落ち込んでる。
ただ、同じヒーローである以上任務の重要さも分かってるため
悲しんでいることを表に出す訳にはいかないのだ。
「そっかー、残念、気をつけてね」
とりあえずなんともないかのように振る舞う。淡々とした
様子で彼に負担をかけないように話す。それでも不安の色は瞳に
浮かんでいてそれが伝わってしまったらしく『早く帰ってくる』
と言われてしまった。失敗した…と、内心赤くなりながら「えへ」
と可愛らしくはにかんで笑うしかなかった。その顔に少し
苦笑いしながらも早足で玄関から外へ出て姿を消してしまった。
彼が消えてしまった空間に寂しさを覚えたが彼はそれを紛らわす
かのようにへら、と笑ってハイボールを取りに行く。
鼻歌を歌いながらハイボールを呑んで少し眠気が襲ってくるまでの
間、TikTokを見続ける。
それから少ししてトイレに向かうために立ち上がると、ふと、目に
大好きな彼の服が映った。気になりはしたものの尿意があるため
先にトイレへと向かう。少しして帰ってきたら、じっと服を
見つめる。ちょっとだけ、寂しいということを思い出して、
いたたまれなくなった。別に、着るくらいならいいだろうと
服を手にとると自身の上着を脱いで、代わりに彼のパーカーを着る。
身長があまり変わらないためサイズは同じだがそれでも少し
大きい気がして、それが嬉しかった。なんだか抱きしめられてる
見たいで「んふふ」と笑顔がこぼれた。ほんの少しだけ長い
袖丈を口元に持って行ってすっと匂いを嗅いでみたら、好きな
匂いがして、安心する。アルコールが入っててもやっぱり年頃
な青年なため、興奮するはする。でも彼は彼と付き合ってから
自慰でイけた経験はなかった。イケない訳ではないのだ。
ただ、彼の温もりがないと、彼の手じゃないと満足できないから。
熱が余計高まって、どうしようも無くなるのだ。だから、興奮に
気付かないふりをして、酒を煽った。
アルコールが全身に回ってきてふわふわしてきたころ、眠気が
襲ってきた。抗いようのない眠気に促されるようにして
そのままベッドへ沈むと静かに瞼を伏せた。大好きな人が
任務中なのも忘れて。己の格好が彼のパーカー1枚のことに
気づきもしないで。
眠りについて20分。働かない頭のままで上体を起こすと
まだ恋人は帰ってきてない様子だった。なんだか少し
腹が立ってきた。こっちはどうしようもないのに、恋人は
自分のことすら考える余裕もなく闘っているのが、敵に
取られたのが 悔しかった。ふと下に違和感を感じたから
目をやれば立ち上がった 自身が見えて、半ばムカつきながら自慰に
及ぶことにした。 隣の棚からローションとゴムを出したら
おしりの洗浄に向かう。 少ししてから帰ってきてゴムをつけたら
ローションを手につける。久々の自慰に緊張してうるさい心臓を
少し気にしながら手をそっと 伸ばす。ぐち、というあまり
聞きたくもないような卑猥な音が 耳に届いて微かに顔が赤くなる。 いつもの彼の手の動きを 真似するかのように手を動かす。
前立腺を掠めて、近くを触って、 たまに押したり、引っ掻いたり。 その度に漏れる自身の 甘ったるい声に目を瞑りながらも
久々の自慰の心地良さに浸る。 1回は果てておいた方が
いいだろうから、と久々に自身を 触ってみればそっちも一応性感帯
だったらしいことに驚いた。 こんなことしか出来ない現状に
虚しさを覚えつつ果てる。 これだけでもかなり眠気が襲うのに、
さらにアルコールが回った体 とあれば眠くならない訳もなく。
あと片付けも満足にせずに、また、眠りについた。
それから約1時間。玄関が開く音がした。彼はその音に気づく
ことはなく、すやすやと眠っている。 『ウェン?』少々
ボロボロになった彼が電気もつけっぱで 姿を見せない恋人に
声をかけるが、返事はなく、その代わり 目に酒が映る。あいつ、
また呑んだのかと思ったと同時、 ソファに置いておいた服が
ないのに気づいた。もしかして あいつが持ってるのではと思い
彼が居そうな場所を考えてみる。 自室か寝室だ。自室は
滅多なことがない限り行かないことから考えられないため
寝室へ向かえば 案の定彼の姿があった。唯一、想像と違ったのは
自身の想像以上に 可愛いことをやっていたことだ。
自身の服1枚で布団の上に 沈む恋人。可愛いと素直に思う。
逆に思わないやつがいるのか。 服のサイズは変わらないが、
やはりヨレヨレの服だからこそ 袖丈がほんの少し余っていて、
それを口元に当てて眠る彼は それはそれは可愛かった。
とりあえず下も履かずに寝ているため、 ちょっと勃っている
それが目に入ってムラっときた。なんだか、 すやすやと寝ながら
人を煽ってくる彼に腹が立ってきて 何となく、ヤろうと思った。
とりあえず睡姦は趣味ではないし、反応が薄いのは嫌いなので
起こそうと近くに寄ると先程までは少ししか見えていなかった
性器がよく見えて、そこで初めて彼の穴が濡れていることに
気づく。『もしかして…』自慰をしていたのかと思い立つ。
よく見てみれば彼自身にもゴムがついている。出た痕跡があるため
予想は当たっていそうだ。とりあえず彼を起こそうと体を軽く
トントンと叩くと「ん…ぁ……」という可愛らしい声が聞こえて
なんか、こう、グッときた。ただ、起きてもらわなければ困る
ため、『ウェン、今帰った。起きて』と優しく声をかける。
「んぇ……?ろぅ………?」眠たげな声で重たい瞼を持ち上げて
聞いてくる可愛らしい恋人に『そう、俺…ろう、起きて?』と
優しく言うと、「ん〜……、ん、おかえり…」と寝ぼけた
ふわふわとした声で言われるもんだから、愛おしさで胸がぎゅっと
締め付けられる。それでもちゃんと起きてもらいたくて『ウェン』
と声をかけると「ん、…おきる、おきるから…」と生半可な声が
帰ってきてちょっと拗ねる。帰ってきたらキスもハグもしたかった
のにそれが出来ないと分かってしまって悲しくなった。たまには
自分からではなく相手からもして欲しいのだ。少し考えて、彼は
自分には甘いことを思い出した。それならば、
『キス…してくんねぇの……?』普段からは想像も
できないくらいの 甘えた声で可愛らしく尋ねてみればいける、
と思ったのだが。「…ん、ちゅ、する……?」ともっと甘やかしたく
なるような声が聞こえて作戦失敗。それでも疲れた体を癒して
欲しくてどうにか起きて欲しかった。そこで初めて、自分が
寂しさやらなんやらで涙ぐんでいることに気がついた。久々に
目に涙を溜めていたかもしれないと思い、目元の涙を拭おうとした
瞬間、ぐい、と手を引っ張られ恋人に跨るようにしてベッドに
落ちる。そして、間髪入れずに目元にキスをされた。目を見開いて
いると、いつもよりも落ち着いた声が耳に届いた。
「ろう……なんで泣いてたの…?」あんな半分半分の意識の中で
良く自分が泣いてたことに気づいたなと思ったと同時、怒っている
ような、拗ねているような声にキュンとした。なんだか自分の
ひとつひとつに何かを思ってくれる恋人が可愛くて、甘えたいし
甘やかしたくもなった。『ウェン、うぇん、甘えて良い…?』と
可愛子ぶってみれば、 きゅっと閉じていた口を開いて「いいよ」と
一言だけ教えてくれた。その言葉に甘えるようにして、彼の体に
自身の体を預けると、少しだけある胸筋に顔が沈む。そして
彼の規則正しい心臓の弟が聞こえて、安心した。上をちらっと
見ると、彼と目が合って、優しくキスをすると、「もう1回」と
舌を出しておねだりされた。普段は聞かないものだったから
落ち着いていた自身もまた、熱を持ち始めた。人を煽るのが得意
だなとしみじみ感じたのは秘密にしておこう。『うぇん……』
さて、どう喰ってやるか。…、……初めて発情期誘発されたかもな。 『いいよ、だから…ちゃんと言うこと聞いてな…?』
「……ぅん、…」
少し物怖じしたような期待したような 熱の篭った返事が返ってきた。