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日曜日の朝10時。開店直後の大手衣料品店で、僕は人生最大の試練を迎えていた。
(ど、どれだ……? どれを買えば正解なんだ……?)
目の前には、色とりどりのブラジャーとショーツが陳列されている。ワイヤー、ノンワイヤー、シームレス……専門用語が多すぎて情報処理が追いつかない。周囲の女性客からの視線が痛すぎる……。
早朝、白石さんからLINEが届いた。 『今日退院予定なのに、着て帰る服がないことに気づいたの……お願い……11時までに何か着るもの持ってきて〜』
昨日の服は病院の袋に入れられてしわくちゃだったし、下着は例のガーターベルトみたいな勝負下着なんだろう。退院時にさすがにそれを着て帰るわけにはいかない。
(昨日のアレはすごかったけど……退院用にあんな刺激的なのはダメだ。もっとこう、患者さんに優しい、身体を労るようなやつじゃないと……!)
僕は冷や汗を流しながら、必死に「正解」を探した。うーん、サテン?ダメだ冷たそうだ。Tバック?露出が多い。論外だ。
逃げるように視線を走らせた先で、僕は「それ」を見つけた。 『コットン100% お腹まですっぽり安心タイプ(ベージュ)』 パッケージに描かれた、慈愛に満ちた女性のイラスト。これだ。これなら間違いない。
——だが、試練は終わらない。次は「ブラジャー」だ。
(さ、サイズは……!?)
僕は棚の前で凍りついた。
アンダー?トップ?って何だ?D70? E75?
目の前に並ぶのは、解読不能な暗号の数々。
本人にLINEで聞くか? いや、ダメだ。弱っている彼女にそんなことを聞くのは、セクハラ以外の何物でもない。