テラーノベル
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(お、思い出せ……昨日の白石さんを……!)
僕は目を閉じ、脳内の記憶装置をフル回転させた。
昨日の彼女は、身体のラインが露骨に出る、リブ素材のタイトなカットソーを着ていた。
華奢な肩幅から、キュッと締まった細いウエスト。
——そこから滑らかに、しかし確かな存在感を持って隆起していた双丘。
……忘年会の帰り、彼女を家に送り届けた時のことをふと思い出す。
酔った彼女に押し倒され、上に乗られた時の感触。
重力に従って形を変えた、あの柔らかな膨らみ。
……気がつけば、僕は無意識に虚空で両手を動かし、その質量を確かめようとしていた。
(——ハッ!? な、何をしてるんだ僕は!!)
我に返り、自分の両手を見つめて愕然とする。
彼女は今、病室で苦しんでいるというのに、僕は公共の場(しかもレディースインナー売り場)ので、彼女の胸のサイズをシミュレーションしていたのか?
最低だ。彼氏失格どころか、ただの変態、不審者だ。誰か僕を殺してくれ。
「……うぅ……すみません白石さん……」
僕は邪念を振り払うように『ベージュのノンワイヤーブラ Lサイズ』を掴み、カゴに入れた。
MかLか迷ったが、あの豊かさを包み込むにはMではいささか不安だ。
大は小を兼ねる。Lにしておこう。今の僕の精神状態では、これ以上リアルな検証(カップ数の特定)をするのは不可能だ……!
「……よし!(涙目)」
僕は無難なグレーのスウェット上下を掴み、パンツとブラの存在を隠すようにカゴへ放り込むと、逃げるようにレジへと走った。
***
1時間後。大学病院の病室。点滴が外れ、顔色が戻った白石さんがベッドに座っていた。
「……陽一さん。わざわざごめんね。買ってきてくれてありがとう」
「ううん、気にしないで!近くに朝早くからやってる店があって助かったよ」
僕は買ってきた紙袋を渡した。
「じゃあ、外で待ってるから、着替えてきて」
***
紙袋の中身を見て、私は手を止めた。
グレーのスウェット。これはまあいい。その下から出てきたのは——。
「…………」
ベージュ色の股上が異様に深いコットンショーツと、同色のブラジャー。
——いやあああ!!
扉の向こう側で、私が心の中で叫んでいることを、陽一さんは知る由もないんだろう。
(嘘でしょ……昨日はインポートの勝負下着だったのに……今日は、おばあちゃん家でしか見たことない超ダっサいブラとデカパン……)
(しかもLサイズって……! 私、そんなに太って見えるの!?泣)
(好きな人が選んでくれた下着がこれって……私、もう女として見られてないんじゃ……死にたい……泣)
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