テラーノベル
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1話
海の中の日常
中国の海。
そこを、三匹の生き物が楽しそうに泳いでいた。
サユリ。
オタマロ。
そして、もう一匹。
三匹にとっては、いつもと変わらない日常だった。
海面から少しだけ顔を出す。
すると、潮の匂いに混じって、さまざまな匂いが鼻をついた。
魚の匂い。
船の匂い。
人間の匂い。
正直、臭い。
けれど――。
これが、日常だった。
いつもの海。
いつもの仲間。
それだけでよかった。
――その日までは。
突然、大きな網が海中へ投げ込まれた。
「!?」
三匹の身体に網が絡みつく。
逃げようとして、必死にもがく。
けれど、網はびくともしない。
「サユリちゃん!」
『オタマロ!』
オタマロも必死に逃げようとする。
けれど、三匹まとめて引き上げられていく。
海面へ。
そして――海の外へ。
何が起きているのか分からない。
ただ、怖かった。
三匹は必死に暴れた。
網から逃れようと、何度も身体を捩る。
そのたびに、尾びれが傷つく。
背びれにも傷が入る。
それでも逃げられない。
やがて、意識が遠くなっていく。
仲間の声が聞こえる。
サユリが呼んでいる。
オタマロの声も聞こえる。
けれど――。
<もう、その声も聞こえないよ……>
そこで、意識が途切れた。
♢ ♢ ♢
目を覚ます。
「……?」
ここは……どこ?
ゆっくりと身体を起こす。
見慣れない部屋だった。
誰もいない。
静まり返った部屋の中央には、大きな鏡が置かれている。
何気なく、その鏡を見る。
「……?」
そこには、不思議な生き物が映っていた。
青い身体。
見慣れない顔。
見慣れない手足。
……誰だ?
じっと見つめる。
鏡の中の生き物も、こちらを見つめている。
そこで、ようやく気づいた。
「……え?」
これ――。
自分?
理解するまでに、少し時間がかかった。
なぜ、自分がこんな姿になっているのか。
分からない。
それよりも――。
「……サユリちゃん?」
一緒にいたはずのサユリがいない。
オタマロもいない。
「……どこにいるの?」
返事はない。
そのとき。
ガチャッ。
部屋の扉が開いた。
「……!」
人間が入ってきた。
彼は、ただその人間を見つめていた。
コメント
1件
第1話、読みました…! 三匹の楽しそうな日常が一瞬で壊れるところが、すごく切なかったです。網に絡まって必死にもがく描写がリアルで、胸がぎゅっとなりました。 気づいたら見知らぬ部屋で、鏡に映った自分の姿が変わってて…しかも仲間がいないっていう不安がひしひし伝わってきました。 最後に人間が入ってくるシーン、どうなるんだろうって続きが気になります!